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マンション大規模修繕の費用相場はいくら?修繕積立金が足りない場合の対処法も解説
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| 執筆者氏名 | 「お金のトリセツ」編集部 |
|---|---|
| 所属 | セゾンファンデックス |
| 執筆日 | 2026年07月23日 |
目次
マンションの大規模修繕について調べ始めると、最初に気になるのが「結局いくらかかるのか」という点ではないでしょうか。
管理組合の理事になったタイミングで、あるいは長期修繕計画の見直し時期を迎えて、施工会社から見積もりを受け取って初めてその金額規模に驚く方は少なくありません。大規模修繕工事は数千万円から数億円単位のプロジェクトです。そして近年は資材価格や人件費の高騰によって、以前の長期修繕計画の金額では実際の工事費を賄いきれないケースが増えています。
本記事では、大規模修繕にかかる費用の相場をまず正確に把握したうえで、費用が高くなる要因、修繕積立金が不足する原因、不足した際の具体的な対処法まで順を追って解説します。
マンション大規模修繕の費用相場はいくら?
「大規模修繕にはいくら必要なのか」という問いに、一律の答えはありません。マンションの規模、形状、設備の種類、築年数、これまでの修繕履歴によって金額は大きく変わります。ただし、国土交通省が実施した「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」をもとに、おおよその目安を把握することはできます。
1戸あたりの費用相場
同調査によると、工事回数別にもっとも割合が高かった1戸あたりの費用帯は以下のとおりです。
- 1回目:100万円〜125万円
- 2回目:75万円〜125万円(2つの価格帯に分散)
- 3回目以上:75万円〜100万円
1戸あたりの費用でみると、「100万円〜150万円程度」をひとつの目安として捉えるのが実務的には妥当です。例えば50戸のマンションであれば5,000万円前後、100戸規模なら1億円前後が工事費の概算感として機能します。なお、実際の工事費は足場などの仮設工事費や諸経費の有無によっても変動します。施工会社の見積もりを比較する際は、どの費用が含まれているかまで確認することが重要です。
マンション全体の費用相場
マンション全体の総工事費についても、同調査から目安が確認できます。
| 工事回数 | 総工事費の目安(全体) |
| 1回目 | 4,000万円〜6,000万円 |
| 2回目 | 6,000万円〜8,000万円 |
| 3回目以上 | 6,000万円〜8,000万円、または1億円〜1億5,000万円 |
(参照:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」)
これはあくまで平均的な目安です。近年は資材費・人件費の高騰が続いており、10年以上前に作成された長期修繕計画では、現在の工事単価との間に乖離が生じているケースも少なくありません。
マンションの規模別に見た費用相場
マンションの戸数や延床面積によっても費用の水準は変わります。50戸以下の小規模マンションや100戸未満の中規模マンションでは3,000万円〜4,000万円程度が相場ですが、100戸以上の大規模マンションでは1億5,000万円〜2億円になることも珍しくありません。大規模マンションほど1戸あたりのスケールメリットが出やすい一方、タワーマンションや超高層物件では足場費用が別次元になるため一概には比較できません。
大規模修繕の費用が高くなる主な要因
同じ戸数・同じ工事項目でも、マンションによって見積額が数千万円単位で変わることがあります。費用を決める主な要因を理解しておくことで、施工会社から提示された見積もりの妥当性を自分たちで判断しやすくなります。
建物の形状と足場工事のコスト
大規模修繕の工事費に占める足場・仮設工事の割合は無視できません。建物の平面形状が単純な箱型であれば効率よく足場を組めますが、凹凸が多い形状、L字型・コの字型の設計、バルコニーが入り組んでいる建物では足場の組み方が複雑になり費用が上がります。高層マンションになるほど仮設工事全体のコストも膨らみます。
外壁の仕様と補修の範囲
外壁がタイル張りなのか塗装仕上げなのかでも工事内容と費用が変わります。タイル外壁の場合は打診調査によって浮きや剥離の範囲を確認し、それに応じた補修が必要です。足場がかかって初めて正確な補修範囲が判明するため、見積もり段階では「実数精算方式」が取られることが多く、工事完了後に追加費用が発生するケースもあります。築年数の古いマンションでは想定を超える浮きが見つかり、当初の見積もりより大幅に費用が増えることも起こり得ます。
設備の種類と維持費
機械式駐車場やエレベーター、受水槽、給水設備などの維持管理コストは、マンションの費用負担に直結します。とくに機械式駐車場は保守費用が高く、長期修繕計画を圧迫する代表的な設備です。大規模修繕と同じタイミングで機械式駐車場の更新を行う場合、それだけで数千万円の追加費用が発生することもあります。
給排水管は築20年を超える頃から劣化状況の確認や更新・更生工事の検討対象になりやすくなります。2回目以降の大規模修繕では給排水管の交換も検討対象に入ってくるため、設備更新の時期に差し掛かっているマンションでは工事費が大きく跳ね上がる可能性があります。
資材価格と人件費の高騰
近年の建設業界では、資材価格の上昇と職人不足に伴う人件費の高騰が続いています。外壁塗装ひとつをとっても、塗料の種類によって1㎡あたりの単価が大きく異なります。アクリル系で1,500円前後、ウレタン系で2,500円前後、シリコン系で3,000円前後、フッ素系では4,500円前後が目安とされており、品質と耐用年数のバランスをどう取るかで総費用も変わります。
10年以上前に作成された長期修繕計画では、当時の単価で計算した金額が記載されていることがほとんどです。そのまま信じて積立金を計算していると、実際の見積もりとの間に数千万円規模の差が生じていることもあります。
追加費用・予備費の考え方
大規模修繕工事では、当初見積もりに含まれていなかった追加費用が発生することがあります。足場がかかって初めてわかる外壁の状態、施工中に発覚する躯体への浸水跡など、想定外の工事が追加されることは珍しくありません。
実務的には、総工事費の5〜10%程度を予備費として計上しておくことが推奨されています。見積書に予備費が含まれているかどうかも、施工会社との交渉前に確認すべきポイントのひとつです。
マンションの修繕時期は定期的にやってくる
費用の大きさを目の当たりにすると「まだ先でよいのでは」と考えてしまいがちです。しかし大規模修繕は建物の資産価値と安全性を維持するために必要な工事であり、先送りにするほど将来の費用負担が増す構造になっています。
大規模修繕の目安となる周期
一般的に、マンションの大規模修繕工事は12〜15年周期で実施されます。国土交通省の調査では、1回目の大規模修繕は築15年以下、2回目が築26〜30年、3回目が築41年以上という分布になっています。
また平成20年4月の建築基準法改正により、竣工または改修から10年以上が経過した建物には「外壁全面打診調査」が義務付けられました。打診調査とは打診棒で外壁を叩いてタイルやモルタルの浮きを調査する手法で、外壁落下事故を防ぐことを目的としています。
高層マンションでこの調査を行うには足場を組む必要があり、足場設置費用だけでも相当の額になります。このことから「どうせ足場を組むなら、このタイミングで大規模修繕を」という判断につながるケースが一般的です。
回数を重ねるごとに修繕ポイントと費用は変わる
1回目(築12〜15年)は外壁補修・屋上防水・屋根・バルコニー・鉄部などの外回りの補修が中心です。この段階で適切にメンテナンスしておくことで、将来的な劣化の進行を抑えることができます。
2回目(築24〜30年)になると、外回りの補修に加えて貯水槽の交換・建具の交換・インターホンや火災報知設備など、建物内部の設備更新も必要になります。2回目以降は新築時に徴収した修繕積立基金が底をついており、修繕積立金のみで対応しなければなりません。
3回目(築36年〜)では給排水管・ガス管・サッシ・玄関ドア・エレベーターなど、大型設備の更新が視野に入ります。工事の規模は1回目や2回目よりも大きく、費用も最も高額になる傾向があります。
マンションの大規模修繕費が不足した際の4つの対処法
長期修繕計画で算出された金額に修繕積立金が届いていない場合、管理組合としてどう対応するか。選択肢は大きく4つに分かれます。それぞれのメリットと現実的な難しさを正確に把握したうえで判断してください。
居住者から一時金を徴収する
不足分を区分所有者から一括で徴収する方法です。借入と違って手数料や利息が発生しないため、総額だけ見れば最もシンプルな選択肢です。ただし現実には、予期しない高額負担への合意形成が難しいことが最大の障壁になります。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、約30%の管理組合が「管理費等の滞納者がいる」と回答しています。全戸から遅滞なく集金することは簡単ではありません。
一時金徴収を検討する場合は、工事の契約時・着工時・完工時といった節目に合わせて分割徴収する方式も検討に値します。一度の負担額を抑えることで合意を得やすくなる可能性があります。
工事内容を見直し、優先度の高い箇所から実施する
全工事を一度に行うのではなく、緊急性の高い箇所から着手し、それ以外を次回に繰り越す方法です。「今回は外壁補修と屋上防水のみ」といった形で範囲を絞ることで一時的な支出を抑えられます。
ただし、工事を複数回に分けることで足場の設置コストが重複し、まとめて行うより総額が高くなる可能性があります。優先順位の判断基準としては、危険性の高い工事(外壁タイルの欠けや浮き、漏水)、足場が必要な工事、足場なしでも対応できる工事、美観目的の工事、という順で考えると整理しやすいでしょう。
また、見直しの際には現行の長期修繕計画がいつ作成されたものかを確認してください。新築時に汎用ひな型で作成された計画には、実際の設備と異なる内容が含まれていることがあります。エレベーターの台数や照明の数量が実態と異なっているケースもあり、不要な費用が計上されていないか精査する価値があります。
大規模修繕工事を延期する
資金が不足している場合、工事そのものを延期するという選択肢もあります。ただし、現在の傷みが軽微であっても放置することで劣化は進行します。軽い補修で済んでいたものが、数年後には大がかりな工事を要する状態に悪化するリスクがあります。
延期を検討する場合は、専門家による劣化診断を実施し、今の状態で工事を遅らせることが建物にどのような影響を与えるかを確認したうえで判断することが重要です。劣化の進行具合によっては延期自体が許容できないケースもあります。
不足分をローンで調達する
金融機関から借入れて不足分を賄う方法です。一時金徴収が難しい状況でも必要な工事を予定どおり実施できること、区分所有者の負担を分割払いで平準化できることが主なメリットです。
借入を申し込む際は管理組合の総会での決議が必要です。民間銀行の「マンション共用部分専用リフォームローン」では、借入限度額が「工事費の80%以内」または「150万円×戸数」のいずれか少ない額に設定されていることが多く、竣工年や滞納率(10%以下であること等)に関する条件が課される場合もあります。
政府出資の住宅金融支援機構が取り扱う「マンション共用部リフォーム融資」は、対象工事費全額の借入れが可能で、工事内容によっては返済期間を長く設定できる柔軟さがあります。
さらに、セゾンファンデックスの「マンション管理組合ローン」では、他の金融機関で断られたケースでも融資できる可能性があります。大規模修繕工事だけでなくマンション共用部分の工事全般に利用でき、融資金額は100万〜5億円と幅広く対応しています。他で断られてから相談するのではなく、早い段階から選択肢のひとつとして検討することをおすすめします。
マンションの大規模修繕工事の費用が足りなくなる5つの原因
なぜこれほど多くのマンションで修繕費の不足が起きるのでしょうか。平成30年度の国土交通省「マンション総合調査」によると、修繕積立金だけで工事費を調達できた管理組合は全体の72.3%にとどまります。残り約28%は何らかの形で不足を補った計算です。
設定している積立金額がもともと低い
最も根本的な原因がこれです。新築時に販売会社が物件を売りやすくするため、修繕積立金を低く設定している場合があります。毎月の負担が小さく見えるため購買意欲につながりますが、将来の大規模修繕を支えるには圧倒的に不足していることが多いのです。
日本経済新聞社の調査によると、全国の物件の75%が国の目安(修繕積立金ガイドライン)を下回っています。購入時点でこの事実に気づかず、数十年後に大きなツケを払うことになる管理組合は少なくありません。
滞納者が増えた
修繕積立金は全戸から毎月きちんと集まって初めて計画どおりに積み上がります。令和5年度の国土交通省調査では、約30%の管理組合が「管理費等の滞納者がいる」と回答しています。
居住者の高齢化も影響しています。令和5年の全国調査では、マンション世帯主の60・70代の割合が53.7%と過半数を超えており、とくに70代の増加傾向が顕著です。昭和54年以前に建てられた物件では住人の半数近くが70歳以上というデータもあり、積立金の値上げ自体が難しい状況に置かれているケースもあります。
設備にコストがかかりすぎている
機械式駐車場やエレベーターなど、維持費の高い設備を多く備えたマンションでは、管理費では賄いきれず修繕積立金から取り崩す状況が生まれることがあります。
例えばエレベーターの保守点検には年間50万円程度かかることも珍しくなく、築20年を超えるとエレベーターの入れ替えを検討する時期にも入ってきます。大規模修繕工事と設備更新が重なる局面では、思わぬ大きな出費になります。
修繕積立金の値上げへの反対意見が多い
積立金が不足する見通しが立っても、管理組合の総会で値上げ議案を通すには居住者の合意が必要です。家計への負担増を懸念する声が多く、必要とわかっていても値上げが進まないケースは全国各地で起きています。
さらに、積立金の値上げを実施できたとしても、資材高騰や工事内容の拡大が値上げ額を上回ってしまうケースもあります。
長期修繕計画の見直しが行われていない
長期修繕計画は一度作成して終わりではなく、国土交通省のガイドラインも5年程度ごとの見直しを推奨しています。建物の劣化状況、費用の高騰、区分所有者の構成変化、設備の状態など、計画策定時点とは異なる条件が積み重なることで、将来の修繕費の推計が実態から乖離していきます。
長年にわたって見直しがなされていない計画をそのまま使っているマンションは、深刻な資金不足に陥るリスクが高くなります。
大規模修繕費用が不足する事態を避ける3つの方法
費用不足は工事の直前になって突然発覚するわけではありません。多くの場合、何年も前から兆候があります。早めに手を打つことで、最悪の事態を回避できます。
修繕費の目安を正確に把握しておく
まず現実的な工事費の目安を把握することが出発点です。1回目より2回目、2回目より3回目のほうが費用は高くなる傾向があります。
管理会社に依頼して、築年数や工事内容が近い他物件の実績データを参照するのも有効な方法です。施工会社への見積もり依頼は工事計画がある程度進まないと対応してもらえないケースもあるため、早い段階では近似事例での概算把握が現実的な選択肢です。
積立金の金額を適正な水準に設定する
国土交通省が公表している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、建築延床面積ごとの㎡単価目安が示されています。
| 建築延床面積 | 平均値(㎡・月) |
| 5,000㎡未満 | 335円 |
| 5,000〜10,000㎡未満 | 252円 |
| 10,000〜20,000㎡未満 | 271円 |
| 20,000㎡以上 | 255円 |
| 20階以上 | 388円 |
(参照:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」 )
これを下回っている場合は要注意です。特に中古マンションの場合、築年数が進むほど工事費がかさむため、ガイドライン水準以上の積立が必要なことも珍しくありません。
積立金額の見直し方式には大きく二つあります。ひとつは段階増額積立方式で、新築当初は低く設定し5〜10年ごとに増額していく方式です。月々の負担が抑えられる初期段階はメリットがありますが、居住者の高齢化が進む中で将来の値上げへの合意形成が難しくなるリスクがあります。もうひとつは均等積立方式で、必要工事費を想定した金額を基に月々一定額を徴収する方式です。国土交通省のガイドラインでも推奨されており、途中での大幅な値上げが不要なため管理組合の運営負担も軽減されます。築年数が新しいうちは段階増額積立方式よりも月額が高めになりますが、将来の徴収金額が安定していることはマンション自体の資産価値の向上にもつながります。
ほかに削減できる費用を探す
修繕費の準備と並行して、日常的な管理費用の中に削減余地がないか見直すことも有効です。共用部の電気代、清掃や設備点検を委託している会社との契約条件、管理委託費の内訳などを点検することで、見直せる項目が見つかることがあります。
修繕工事の施工会社選定においても、管理会社に全面的に一任するのではなく、管理組合が主体となって複数社から見積もりを取ることが重要です。管理会社経由で業者を選定すると仲介手数料が発生するケースがあります。管理組合が直接施工会社と交渉を行うことで、工事費用の削減が期待できます。ただし相見積もりの際には、業者間での事前協議によって相場から乖離した金額が提示されるケースもあるため、第三者の専門家の目を借りながら進めることをおすすめします。
おわりに
マンションの大規模修繕費用は、一般的に1戸あたり100万円〜150万円程度が目安ですが、マンションの規模・設備・築年数・工事内容によって大きく変わります。マンション全体では数千万円から1億円を超えることも珍しくなく、資材高騰が続く現在では以前の長期修繕計画の金額と実際の見積もりの間に大きな乖離が生じているケースも増えています。
修繕積立金が不足した場合の選択肢は、一時金徴収・工事内容の見直し・延期・借入のいずれかです。それぞれにメリットとデメリットがあり、管理組合の状況によって適した方法は異なります。重要なのは、工事の直前になって資金不足に気付くのではなく、早い段階から選択肢を整理し、長期修繕計画とあわせて資金計画を見直しておくことです。
一時金徴収が難しい場合や、他の金融機関で希望どおりの借入れが難しい場合には、セゾンファンデックスの「マンション管理組合ローン」も選択肢のひとつになります。修繕工事の実施時期が近づいてから慌てて資金調達先を探すのではなく、早い段階から利用できる制度や融資商品を比較・検討しておくことが大切です。
マンションの資産価値と居住環境を維持するためにも、まずは現在の修繕積立金の状況と将来必要となる工事費を把握し、自分たちのマンションに合った資金計画を検討してみましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。制度や金額の目安は変更される場合がありますので、最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。

