この記事の監修者 |
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氏名 | 熊谷正和(くまがやまさかず) |
保有資格 | CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャルプランニング技能士 |
所属 | ライフアート・コンサルティング株式会社 |
監修日 | 2023年1月18日 |
多くの社会人にとって、住宅の購入は人生で最大規模の出費です。金額が大きく融資期間も長いため、融資する側の金融機関はさまざまな項目に沿って審査を行います。
その中で金融機関が重視する項目はどれなのか、国土交通省の調査結果(令和3年度)から、まず上位10項目を並べてみましょう。
・完済時年齢(考慮する割合:98.9%)
・健康状態(98.5%)
・担保評価(97.6%)
・借入時年齢(97.1%)
・年収(95.0%)
・返済負担率(94.6%)
・勤続年数(94.5%)
・連帯保証(94.5%)
・金融機関の営業エリア(92.2%)
・融資可能額(75.8%)
この結果を見ると、金融機関の営業エリアまでの項目は、どの金融機関でもほぼ間違いなく重視していることがわかります。では次に、上位の審査項目について詳細なポイントを分析してみます。
(1)年齢
年齢という審査項目は二つあり、一つは借入時年齢でもう一つは完済時年齢です。借入時年齢は20歳以上75歳(70歳)未満という設定が多く、金融機関の商品によって異なる場合もあります。ただし実際の融資では、30代以降が住宅ローンの適齢期と言われています。
一方で完済時年齢は80〜85歳未満という設定がほとんどです。完済時年齢から住宅ローンの借入期間を引いてローンを組む必要があります。完済時80歳未満で借入期間が35年の条件であれば、借入時には44歳までが限度で、その年齢を過ぎると返済期間が短くなるわけです。
(2)健康状態
金融機関にとっては、融資金額と金利分の全額回収が必須なので、返済期間中に融資対象者が健康を維持し支払い続けられるどうかは非常に重要です。そのため住宅ローンでは、原則として「団体信用生命保険」への加入が条件になっています。
(3)担保評価
住宅ローンの担保は、基本的に購入予定の不動産で設定されます。また共同担保という条件で、融資対象者本人もしくは親族が所有する不動産が対象になる場合もあります。もしも返済が不可能になると、これらの担保物件を売却して返済に充てることになります。
(4)年収・勤続年数
転職が関わってくると、年収と勤続年数という項目が最も不安な要素になるかもしれません。年収については金融機関ごとに基準が異なり、一律で目安にできる金額もないため、金融機関とその商品ごとの条件を確認してください。
また勤続年数については、長期的に安定していたほうが望ましいですが、転職する場合には未知の状態であると言えます。転職後の待遇アップや安定度などをアピールして、金融機関と相談することになるでしょう。