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底地を売却する方法は?メリットデメリットから注意点まで徹底解説

底地は借地権が設定されている土地で、借地権が付いていている土地は所有者でも自由に利用できず、買い手が限られる特徴があるため、売却を検討する際はその性質を十分に理解することが重要になります。この記事では、底地の売却に向けた課題や売却方法を詳しく解説します。底地を売却するメリットやデメリット、注意点も説明しますのでぜひ参考にしてください。

目次
  1. 底地の売却は難しい?
  2. 底地を売却する方法
  3. 底地を売却するメリット・デメリット
  4. 底地を売却する際の注意点
  5. おわりに

底地の売却は難しい?

底地とは、建物の所有などを目的に土地を借りる権利を指す借地権が設定された土地です。物権である地上権と、債権である土地賃借権の2種類に分けられます。土地を借りている借地権者が借地権設定者である地主に地代として対価を支払うのが通常です。

地主つまり底地の所有者と、借地権を根拠に建物を所有する人が別々であるため、底地を売却する際は注意すべき点が多くあります。ここでは、底地の売却が難しい理由について4つの項目に分けて詳しく確認していきましょう。

(1)自由に活用できない

底地の大きな課題は、土地を借りて生活を営んでいる借地人がいることなどから、自分の土地なのに自由に活用できないことです。
借地権は建物の所有などを目的とするため、長期間にわたって設定されます。借地借家法第3条では、借地権の存続期間は30年以上と定められています。
借り手の権利は借地借家法で厳格に保護されており、容易には立ち退いてもらうことができません。底地の所有者が自分で使いたいと思ったときでも、土地を返してもらうには立退料などを考慮した「正当な事由」が必要とされます。

仮に底地を取得した人が新しい建物を建てたくても、借地人の権利を尊重する必要があるため、そもそも買い手が見つからないという状態になるのです。

(2)融資を受けにくい

底地の売却を検討する際のもうひとつの問題は、買い手が金融機関からの融資を受けにくい点です。底地は借地人の意思に反して自由に使うことができないため、売却しても通常の更地の1?2割程度の価格になってしまうといわれています。
利用が制限され、市場価値も低く、事実上担保価値がないと評価される底地を担保に入れることは難しく、購入者が金融機関から融資を受けることが困難となります。実際に多くの銀行は底地購入のための融資に消極的です。

(3)収益性が低い

収益性が低いことも、底地の売却が難しい理由です。底地の所有者は土地に借地権を設定することで、借地人から地代を受け取れます。
しかし、地代はそのまま手元には残りません。土地の固定資産税や都市計画税が毎年かかるほか、場合によっては土地の管理費なども必要になるからです。
仮に物価上昇などで土地の価値が上がれば、固定資産税や都市計画税の負担が増す可能性もあります。一方で契約に基づく地代は借地権者との合意がなければ簡単には上げられません。この結果、収支がマイナスに陥るリスクもあります。

(4)借地人とのトラブル発生の恐れ

底地を所有していると、借地人とのトラブルが発生するリスクがあり、売却を難しくする可能性があります。ここでは、借地契約の更新や地代などをめぐるトラブルについて解説します。

借地契約の更新時に借地権者が更新を求めてきた場合、底地の所有者が拒否するには「正当な事由」が必要です。底地の所有者が土地の利用を必要とする事情や、土地利用の現状、立退料の多寡などが考慮されます。ただし、更新を前提としない定期借地権とした場合は、契約期間満了をもって借地権は消滅します。

また、土地価格の値上がりで固定資産税と都市計画税が上昇して収益が圧迫される場合、地代値上げの交渉も必要になるでしょう。立退料や地代といった金銭にまつわる交渉では、トラブル発生のリスクが高まります。このような物件の購入に積極的な人は多くないのが実情です。

底地を売却する方法

借地人との関係を意識する必要がある底地の売却には、難しいケースが多いものの、いくつかの方法が存在します。ここでは、底地を売る方法を以下の4項目に分けて詳しく解説します。

(1)借地人に売却

底地を売る方法のひとつめは、借地人に売却することです。借地人は底地の所有者に地代を支払っています。借地人が底地を買い取ってひとつの完全所有権となれば、地代を支払う必要がなくなるうえ、土地を自由に使えるメリットがあります。第三者が底地だけを購入するよりも利点が大きいため、相場に近い価格で売れる可能性もあるでしょう。

しかし、この方法の前提として、借地人に完全所有権を求める意思や、それを可能にする資金力が必要です。地主と借地人との良好な関係も求められるため、すべてのケースで有効とはいえません。

(2)完全所有権にしたのちに売却

借地権を外して完全所有権にしたのちに売却する方法もあります。土地の利用を制限する賃借権や地上権を解消することで、買い手が自由に土地を利用できるようにしてから売ることにより、幅広い購入希望者に相場で売ることが可能になるでしょう。

例えば、底地の一部と借地権を借地権設定者と借地権者で等価交換する手法があります。等価交換することにより、借地権が設定されていたひとつの土地を分割し、地主の土地と借地権者の土地に分けます。面積は小さくなりますが、それぞれを完全所有権とできるのがメリットです。

しかし、この方法も借地権者の同意が必要です。加えて、建物が立っている部分はそもそも分割できないため、一定の広さがある底地でなければ実現は難しいでしょう。

(3)底地と借地を同時に売却する

底地と借地を同時に売却することも、底地を売る手法のひとつです。土地所有者と借地人が協力して、土地とその上の建物を一緒に市場に出す方法です。
底地だけが売りに出ていても購入希望者は見つかりにくいですが、土地と建物が同時に取得できるのであれば希望者が現れる可能性は格段に高まります。相場での売却も十分可能でしょう。

ただ、底地と借地を同時に売却するには、借地人に売却する意思があり、かつ売却時期が底地の所有者が売りたい時期と一致しなければならないというハードルがあります。売却代金の分け方について話し合う必要もあり、やはり地主と借地人との良好な関係が大前提になります。

(4)専門の不動産買取サービスに依頼する

これまで紹介した底地を売却する方法は、いずれも借地人との交渉が必要なものでした。しかし、売却について借地人と交渉をしなくても底地を売ることは可能です。それが、専門の不動産買取サービスに依頼することです。

不動産買取サービスで底地を購入する不動産会社は、一般の人と異なって居住用に土地を購入するわけではありません。専門の会社が底地の所有者となることで、借地権者とスムーズに交渉しながら土地を有効活用できる可能性もあるでしょう。底地の売却には不動産買取サービスに相談することが、迅速な売却につながります。

おすすめのサービス

底地を売却する際の不動産買取サービスでは、セゾンファンデックスの「底地・借地の売却サポート」がおすすめです。
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底地を売却するメリット・デメリット

次に底地を売却する際のメリットとデメリットを解説します。

底地を売却するメリット

底地を売却することによるメリットとして第一に挙げられるのは、固定資産税や都市計画税という毎年かかる税金の負担から解放されることです。
納税に必要な資金は地代から得られますが、仮に土地価格が上昇すれば固定資産税と都市計画税も上がってしまいます。地代を引き上げるのは借地権者の同意が必要で簡単には実現しません。場合によっては地代以上の納税を余儀なくされるケースもあるため、納税負担がなくなるメリットは大きいものがあります。

また、底地を売却することで、相続人への引き継ぎを回避できることも利点となりえます。利益が薄いまたは赤字の底地を相続されても相続人が困りますし、分割方法によっては相続トラブルに発展することもあるでしょう。

底地の相続税評価額が市場価格より高額になることも、事前に売却しておくべき理由です。底地の相続税評価額は、借地権がない更地の相続税評価額に底地権割合をかけたものです。底地権割合は、「1-借地権割合」で求められます。借地権割合は60%とされているケースが多いため、底地権割合は40%が多いです。

一方で、底地の市場価格は更地の10?20%程度が一般的になります。
例えば、市場価格が3,000万円の土地の場合、相続税評価額はおおむね市場価格の8割といわれますので2,400万円(=3,000万円×80%)です。この土地に借地権が設定されているとすれば、底地の相続税評価額は960万円(=2,400万円×40%)となります。一方で、底地の市場価格は300万?600万円(=3,000万円×10?20%)と見積もれます。

つまり、底地のまま所有して相続するよりも、相続前に売却しておく方が相続税評価額を抑えられる可能性があるのです。売却で得た資金をほかの有利な投資先に振り向けたり、新たな事業に利用したりするなどして資金を有効活用できる可能性も広がるでしょう。

底地を売却するデメリット

底地の売却にはメリットも多いですが、デメリットもあります。底地を売却する際の最も大きなデメリットは、売却しにくいことです。

底地を売却するには、建物を所有する借地人に売ったり、完全所有権にしてから売ったり、底地と借地権を同時に売ったりする方法がありますが、いずれも借地人との交渉が不可欠で、良好な関係性も必要です。さまざまな制約が存在するため、一般的な不動産取引よりも売却プロセスが複雑となるでしょう。

加えて、利用が制限される底地は市場価格よりもかなり低い価格で取引される傾向があります。売却できても期待した収入が得られない可能性が高いことは、底地を売るデメリットといえます。

底地を売却する際の注意点

底地を売却するには、いくつか注意点があります。これまで指摘してきたように、底地の売却には独特の複雑さがあるからです。ここでは、底地を売却する際に注意すべき点を解説します。

借地人への事前告知

地主が底地を第三者に売却する際には、売却時または売却後のトラブルを防ぐためにも事前告知をすることをおすすめします。本来、必ずしも借地人に事前告知をする必要はありません。しかし、借地人としては、土地の所有者が変更されたことを突然知らされると、不安に思うかもしれません。

無用なトラブルに発展する可能性もあるため、事前に底地を売却する意向を伝え、借地権者の疑問や懸念に対応することは、権利関係の円滑な移行に重要でしょう。

底地を共有している場合は同意が必要

底地の売却を進める際、土地が共有名義である場合には、共有者全員の同意が必要となります。共有名義とは、土地を複数の名義で所有している状態です。相続で兄弟が引き継いだ場合などが想定されます。

共有地を処分するには全員の同意が必要なため、スムーズな売却を妨げることがあります。共有状態のまま相続が発生すると、さらに権利関係が複雑になるリスクもあることから、共有状態の早急な整理を検討することが重要です。
ほかの共有者から持分を買い取るなどして単独名義にしてから売却したり、ご自身の持分をほかの共有者や不動産会社に売却したりする方法があります。ご自身の持分を売却するのにほかの共有者の同意は必要ありません。

売却後に利益がある場合は譲渡所得税が発生する

底地を売却した際に利益が出た場合は、譲渡所得税を納める必要があります。譲渡所得税の計算の基礎となる譲渡所得額は、売却代金から物件の取得に要した費用と売却に要した譲渡費用を差し引いて計算します。

譲渡所得額=売却代金(取得費+譲渡費用)
上記の式のうち取得費とは、売却した物件を買ったときの代金や仲介手数料などを指し、譲渡費用は物件を売るために支出した仲介手数料や印紙税などの費用です。

個人が底地を売却した場合の譲渡所得税の納税額は、上の式から算出された譲渡所得額に対して以下の税率をかけて算出します。
<譲渡所得税の税率>
・所有期間が5年超(長期譲渡所得):税率20.315%(所得税 15.315% 住民税 5%)
・所有期間が5年以下(短期譲渡所得):税率39.63%(所得税 30.63% 住民税 9%)

所有期間の判定は、物件を売却した年の1月1日時点の所有期間が5年超か5年以下かで判定します。例えば、2018年10月1日に取得した底地を2023年11月1日に売却した場合、一見すると所有期間が5年を超えていますが、2023年1月1日時点では5年以下のため短期譲渡所得と判定されます。

おわりに

底地を売却する方法や、売却するメリットとデメリットを解説してきました。借地権者との関係を意識する必要がある底地の売却にはさまざまなハードルがあります。売却を進めるにしても、借地人への事前告知や、共有者がいれば合意の取得など注意点も多いため、スムーズかつ迅速に底地を売却するには、専門の不動産買取サービスを利用するのが有効です。底地の売却に不動産買取サービスを利用するなら、セゾンファンデックス「底地の売却サポート」の活用をおすすめします。
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