底地を相続することには一定のメリットはありますが、デメリットも大きいです。ここでは、底地を相続するメリットとデメリットについて解説します。
底地を相続するメリット
底地を相続するメリットは以下のとおりです。
・地代収入を得られる
底地を所有していると地代収入が得られます。借地権が有効である限りは毎月一定の収入が入ってくるうえに、アパートやマンション、一戸建てなどの建物を貸す場合とは違い、メンテナンスの費用もかかりません。さらに、以下の臨時収入を得られる可能性もあります。
・建物の建替えや増改築に対する承諾料
・契約更新料
・名義変更に対する承諾料
・小規模宅地等の特例で相続税の減税が期待できる
小規模宅地等の特例とは、相続税における特例のひとつで、一定の条件を満たす土地であれば、相続税上の評価額を最大80%まで減額できる制度です。評価額が減るため、結果として相続税も安くなります。
なお、相続財産に含まれる土地がどのような理由に使われていたかにより、評価額の減額割合も異なります。底地の場合、貸付を相続人が続けていれば小規模宅地等の特例における「貸付事業用宅地」として相続税上の優遇を受けることが可能です。
なお、小規模宅地等の特例は、条件に当てはまる底地があるからといって自動的に適用されるわけではありません。相続税の申告書に特例を受ける旨を記入するとともに、小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写しなど一定の書類を添付する必要があるので、抜け漏れがないよう準備しましょう。
底地を相続するデメリット
前述したとおり、底地にはさまざまデメリットがあります。代表的なデメリットとして以下の5点について解説します。
(1)土地を自由に使うことはできない
土地を使う権利はあくまでも借地人にあるため、正当な理由がない限り地主は借地人を立ち退かせ、土地を自由に使うことはできません。どうしても使いたい場合は、借地人に対し一定の金銭的補償をする必要も出てきます。
(2)借地人とトラブルになることもある
借地人と地主がトラブルになりがちなのも、底地が抱えるデメリットです。例えば、借地人が賃料を滞納している場合、まずは支払ってもらうよう交渉することになりますが、それがうまくいくとは限りません。
また、借地人が亡くなってしまい、その相続人が借地権を相続することも考えられます。
(3)税金がかかる
底地であっても、持ち続けている限りは固定資産税がかかります。また、貸し付けることで所得(もうけ)が得られている場合、その分の所得税・住民税も払わなくてはいけません。
(4)大きな収益は期待できない
底地から賃料収入が得られるとしても、大きな収益は期待できないのも事実です。一般的に、底地の賃料は固定資産税と都市計画税、その他経費の合計金額を3?4倍した金額に設定されています。この価格は、同程度の面積の土地を使ったアパート・マンション経営や駐車場経営で得られる収益に比べるとはるかに低いので、あえて運用目的で底地を持つメリットには乏しいでしょう。
(5)相続税の課税対象になる
底地を相続した場合、相続財産として扱われるため結果として相続税がかかります。
まず、底地の相続税評価額は「更地としての相続税評価額×(1?借地権割合)」という式で計算可能です。およそ時価の8割程度の金額になります。また、全体としての相続税は、以下の図のように段階を追って計算していきます。
底地を含めた財産がどのぐらいあるかによっても金額は異なるため、税理士に相談しましょう。