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高齢者は年金だけで生活できない?約6割が不足する現実と今からできる対策
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| 執筆者氏名 | 「お金のトリセツ」編集部 |
|---|---|
| 所属 | セゾンファンデックス |
| 執筆日 | 2026年03月31日 |
目次
高齢者は年金だけで生活できるのでしょうか。実際の公的統計を見ると、年金は高齢者世帯の重要な収入源である一方、年金以外の収入や貯蓄の活用も含めて家計を支えている世帯が少なくありません。厚生労働省の2024年調査では、高齢者世帯の所得に占める公的年金・恩給の割合は平均63.5%であり、公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯は43.4%となっています。
かつての日本では、定年まで勤め上げれば公的年金と退職金で穏やかな老後を送れるという考え方が一般的でした。しかし、昨今の物価変動や社会構造の変化により、その前提条件が変わりつつあります。
「将来、年金だけで生活していけるのだろうか」という懸念は、すでにリタイア生活を送っている方はもちろん、これからセカンドライフの準備を始める現役世代にとっても、向き合うべき重要なテーマです。
公的な統計データを詳しく見ていくと、多くの高齢者世帯が就労による収入を得たり、現役時代に蓄えた資産を活用したりすることで、日々の生活を支えている実情が浮かび上がってきます。では、具体的にどの程度の収支差が生じており、私たちはどのような準備を整えておくべきなのでしょうか。
本記事では、厚生労働省や総務省などの公的データをもとに、高齢者世帯の家計の実態を解説するとともに、年金だけに頼らない安心感のある老後を実現するための現実的な選択肢について、分かりやすくお伝えします。
統計が示す現実:高齢者が年金だけで生活できない理由とは
まず、日本の高齢者世帯がどのような収入構成になっているのかを確認してみましょう。
厚生労働省が公表した「2024年 国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の所得に占める公的年金・恩給の割合は平均63.5%となっています。また、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、総所得に占める公的年金・恩給の割合が100%の世帯は43.4%でした。
この結果からわかるのは、年金が高齢者世帯の家計を支える中心的な収入源である一方で、年金以外の収入も含めて生活を成り立たせている世帯が一定数あるということです。
年金以外の収入源としては、主に次のようなものが考えられます。
- 就労収入: 定年後も再雇用制度やパート・アルバイトを通じて働き続ける。
- 資産の活用: 預貯金の取り崩しや、運用していた金融資産の利益を充てる。
- 家族からの支援: 子世代など親族からの仕送りを受ける。
こうした状況は、単に個人の準備不足というよりも、長寿化や物価動向などを背景に、老後の家計を複数の手段で支える必要性が高まっていることを示しているといえるでしょう。
毎月の収支差はいくら?家計のリアルな実態
次に、毎月の家計収支の平均像を見てみましょう。総務省の「家計調査年報(家計収支編)2022年」によると、65歳以上の無職世帯では、次のような収支状況が示されています。
夫婦のみの無職世帯(2人世帯)
- 実収入: 246,237円
- 可処分所得(税金等を引いた手取り): 214,426円
- 消費支出: 236,696円
- 毎月の収支差:▲22,270円
夫婦2人の場合、手取り収入に対して支出が上回り、毎月約2.2万円の不足が出ている計算になります。
単身の無職世帯(1人世帯)
- 実収入: 134,915円
- 可処分所得(税金等を引いた手取り): 122,559円
- 消費支出: 143,139円
- 毎月の収支差:▲20,580円
単身世帯の場合も同様に、毎月約2万円前後の不足が生じていることがわかります。
統計には現れにくい「臨時的な支出」にも注意
ここで押さえておきたいのは、上記の数値はあくまで平均的な月次支出をもとにしたものだという点です。実際の生活では、次のような臨時的な支出が家計に影響することがあります。
- 住宅の維持管理費: 外壁や屋根の修繕、給湯器や水回りの設備更新。
- 医療・介護の自己負担: 急な病気や、家族の介護が必要になった際のサービス利用料。
- 冠婚葬祭などの交際費: 親戚・知人の祝辞や弔事への参列、孫への支援など。
- 耐久消費財の買い替え: 冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの高額家電の故障対応。
例えば、毎月2万円の不足を貯蓄で補っている状況で、急に50万円の住宅修繕が必要になれば、家計のバランスに与えるインパクトは非常に大きくなります。統計上の数字はあくまで「平常時の目安」であり、実際にはそれ以上の備えを想定しておくことが、安心への第一歩となります。
なぜ「年金だけ」では不足が生じやすくなっているのか
かつての世代に比べ、現代の高齢者世帯が家計の調整に工夫を凝らす必要性が増しているのはなぜでしょうか。そこには、個人の努力とは別の次元で進行している3つの大きな社会的要因があります。
① 物価上昇と年金額の伸びの関係
現在、エネルギー価格の変動や為替の影響により、食品や光熱費などの生活必需品において価格上昇が続いています。日本の公的年金には物価や賃金の変動に合わせて受給額を調整する仕組みがありますが、同時に「マクロ経済スライド」という調整機能も備わっています。
これは将来の世代の受給レベルを確保するために、物価が上昇しても年金額の伸びを一定程度抑える仕組みです。こうした制度のもとでは、物価が上昇している局面でも、生活実感としては家計負担が重く感じられることがあります。
② 医療・介護費用の見通しにくさ
長寿化は喜ばしいことですが、同時に医療や介護に頼る期間が長期化する傾向も生んでいます。生命保険文化センターの2021(令和3)年度調査によると、介護にかかる一時費用の平均は約74万円、月々の継続的な費用は平均で約8.3万円とされています。こうした費用は現役時代には正確に見通すことが難しく、老後資金に大きな影響を与える要因となります。
③ 持ち家にも維持コストがかかる
「住宅ローンを完済すれば住居費は不要になる」と考えられがちですが、実際には維持コストが継続します。固定資産税の支払いは生涯続きますし、築年数が経過すれば住宅の不具合は避けられません。バリアフリー化などのリフォームが必要になることもあるでしょう。 マンションの場合は、管理費や修繕積立金が将来的に増額されるケースも多く、これらが年金生活における固定費の重荷となるケースは少なくありません。
家計の見直しを先送りした場合に考えられる影響
家計の不足が生じている状態をそのままにしておくと、将来的にいくつかの選択肢が狭まってしまう可能性があります。
- 資産の減少による心理的負担: 預貯金の減少が続くと、日々の支出に対して慎重になりすぎてしまい、必要な外出や趣味、交際を控えるようになることがあります。家計面だけでなく、生活の満足度の面にも影響することがあります。
- 就労の継続性: 「不足したら働けばよい」と考えていても、加齢に伴い健康状態や体力には個人差が出てきます。安定した収入を労働だけに頼り続けることには、不測の事態への備えという観点で限界があります。
- 公的支援の利用にあたっての留意点: 生活が厳しくなった場合には、公的な支援制度の活用を検討することになります。ただし、制度によっては資産状況や収入状況などの確認が行われる場合があるため、利用要件を事前に確認しておくことが大切です。
そのため、健康で気力が充実している段階で、「今の生活環境を保ちながら、いかにして長期的な資金計画を立てるか」を検討しておくことが重要です。
安心感を高めるために今から取れる「有効な対策」
年金不足を補い、安定した老後を実現するためには、支出の最適化と収入の多角化を組み合わせることが有効です。
① 固定費の合理的な見直し
まず取り組みやすいのが、毎月継続して発生する固定費の見直しです。固定費は一度内容を調整すると、その後も継続的に家計負担の軽減につながりやすいため、老後の収支改善策として検討しやすい項目です。
- 通信費の最適化: スマートフォンやインターネット回線の契約内容を確認し、利用実態に合っていない高額プランを見直すことで、毎月の支出を抑えられる可能性があります。たとえば、大容量プランからより低価格のプランへ変更したり、利用頻度の低いオプションサービスを外したりするだけでも、負担が軽くなることがあります。
- 保険の見直し: 現役時代に加入した生命保険や医療保険が、そのまま継続されているケースも少なくありません。子どもの独立や住宅ローン完済後は、必要な保障額が変わることもあるため、現在の生活状況に照らして保障内容と保険料のバランスを確認することが大切です。
- その他の固定費の確認: このほか、使っていないサブスクリプションサービス、車の維持費、住居関連費なども、家計への影響が大きい項目です。毎月当然のように支払っている費用ほど見直しの効果が見えにくいため、一度一覧化して確認してみると、改善の余地が見つかることがあります。
② 年金の繰り下げ受給の検討
老齢年金の受給開始時期は原則65歳ですが、希望に応じて最大75歳まで繰り下げることができます。繰り下げた場合は1カ月ごとに0.7%ずつ年金額が増額され、75歳まで繰り下げると、65歳で受給を始めた場合に比べて月額で最大84%増(※)となります。
もっとも、受給開始を遅らせる間の生活費は別途確保しておく必要があります。一定の資金余力がある方にとっては、将来の受給額を増やす選択肢の一つといえるでしょう。
※繰り下げ受給の増額率は、公益財団法人 生命保険文化センターの公表情報をもとに記載しています。
③ 就労機会の継続
定年後の再雇用やパートタイム勤務など、無理のない範囲で働き続けることは、老後の家計を支える方法の一つです。短時間の勤務であっても一定の収入を確保できれば、毎月の生活費の一部を補いやすくなり、貯蓄の取り崩しペースを抑えることにつながります。
また、就労を続けることは、収入面だけでなく、生活リズムの維持や社会とのつながりという面でも意義があります。
④ 資産運用の活用(NISA等)
預貯金だけに偏らず、新NISAなども活用しながら資産の一部を分散して保有することは、物価上昇に備える手段の一つです。リスクを理解したうえで、長期・分散を意識して取り組むことが基本になります。
⑤ 住宅資産の有効活用
「手元資金には余裕がないが、自宅は所有している」という場合には、住宅資産の活用も選択肢になります。住み慣れた家での生活を続けながら資金確保を図りたい場合には、方法の一つとしてリースバックを検討する余地があります。
住み続けながら資金を確保する「リースバック」という選択肢
通常、自宅を売却して資金を得る場合、転居が必要になるのが一般的です。これに対し、リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を受け取った後、買主と賃貸契約を結ぶことで、同じ家に住み続けられる仕組みです。
リースバックの主なメリット
- まとまった資金の確保: 売却代金が一括で支払われるため、生活資金や住宅修繕、医療費などに充てられます。
- 住環境の継続: 引っ越しの手間や費用がかからず、住み慣れた地域での生活を続けられます。
- 所有コストの削減: 買主に所有権が移転するため、固定資産税や都市計画税といった所有に伴う税負担がなくなります。
「セゾンのリースバック」のご案内
セゾンファンデックスの提供する「セゾンのリースバック」では、お客様が安心してセカンドライフを送れるよう、きめ細やかなサポート体制を整えています。
- 迅速な手続き: お申し込みから最短2週間での契約も可能です。
- 付帯費用の負担軽減: 家財保険の自己負担0円や、事務手数料・更新料を無料とするプランを提供しています。
- 柔軟な対応: 売却後の賃料設定や買い戻しの可能性など、将来のライフプランに合わせたご相談を承ります。
「年金だけでは少し心もとない」と感じつつも、「愛着のあるこの家を離れたくない」というお考えをお持ちの方にとって、リースバックは有力な検討候補となるはずです。
まとめ:年金を軸にしながら、複数の備えを組み合わせる
これからの老後生活では、公的年金が重要な柱であることに変わりはありません。一方で、公的統計を見ると、年金以外の収入や資産の活用も含めて家計を支えている高齢者世帯が少なくないことがわかります。しかし、この変化は、必ずしも老後の生活が成り立たなくなることを意味するわけではありません。大切なのは、「年金が不足しがちである」という現実を客観的に捉え、早めに複数の対策を組み合わせておくことです。
- 家計を見直して支出をスリムにする。
- 無理のない範囲で就労を継続する。
- 住宅資産を有効に活用して、手元の現金を確保する。
これらを組み合わせることで、たとえ年金額が十分でなくとも、心穏やかに自分らしい生活を続けることは十分に可能です。
【本記事の要点】
- 高齢者世帯の約6割は年金だけで生活を維持できていない
- 統計上、平均で毎月2万円前後の収支差が生じている
- 65歳以上の無職世帯では、平均的に可処分所得を上回る消費支出がみられる
- 医療・介護費や住宅修繕費など、臨時支出も見据えた備えが重要
- 老後の家計不安に対しては、支出見直し・就労・資産活用を組み合わせて考えることが大切
将来の家計について少しでも不安がある場合は、まず現状の収支や資産状況を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。セゾンファンデックスでは、お客様の状況に応じて、住まいや資産活用に関するご相談を承っています。
住み慣れた家での生活を続けながら資金計画を考えたい方は、セゾンのリースバックの簡易査定で、ご自宅の活用可能性を確認することも一つの方法です。
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