この記事の監修者 |
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氏名 | 熊谷正和(くまがやまさかず) |
保有資格 | CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャルプランニング技能士 |
所属 | ライフアート・コンサルティング株式会社 |
監修日 | 2023年1月18日 |
結婚して以降の夫婦で積み上げてきた共有の財産を、離婚時に二人で分割することを財産分与といいます。
財産分与においては、婚姻期間中に得た財産に対して夫と妻のそれぞれが請求権を持ちます。なお、不倫やDV(ドメスティックバイオレンス)など離婚に至る原因を作った有責配偶者であっても、財産分与を求めることは可能です。
(1)財産分与の種類
離婚時の財産分与には、大きく分けて三つの種類があると考えられています。ただし、どれか一つの形式のみを選ぶのではなく、実際上、厳密な区別はされていないようです。
・清算的財産分与:夫婦が婚姻期間中に得た財産を、寄与に応じて分配すること
・扶養的財産分与:離婚後すぐに経済的自立が難しい配偶者が自立できるまでの間の生活費について、もう一方の配偶者が扶養の目的で財産を分配すること
・慰謝料的財産分与:不倫やドメスティックバイオレンスなど離婚に対する責任のある配偶者が、もう一方の配偶者に対して慰謝料の目的で財産を分配すること
どの財産をどのように分けるかは話し合いによって決定されますが、基本的に預金のような金額が明確な資産については、夫婦での分割がしやすいです。
しかし、不動産や車のような「物」の場合、そのままでは分けられません。そのため、売却して現金化してから分配するか、どちらかの配偶者にその物自体を譲り渡した上で、譲った側の配偶者に対しては、分与されるべき金額(物の価値を現金化して計算)を支払う方法がとられます。
(2)財産分与の対象となる財産とは?
財産分与の対象とされるのは、婚姻期間中に蓄積された夫婦の共有財産です。現金・預金はもとより、有価証券、年金、生命保険の積立金、退職金、家、土地、自動車など現金化される価値のある資産のすべてが含まれます。
財産分与の対象外となるのは、配偶者が生前贈与により親族から受け取った財産、独身時代に形成した財産などの特有財産です。
「財産目当ての結婚」といった言葉もありますが、結婚相手が独身時代に得た財産については、離婚時に請求権はないのでその点を覚えておくと良いでしょう。
自宅については、どちらかが独身時代に得たものであれば財産分与の対象外ですが、婚姻期間中に得たものであれば財産分与の対象です。
(3)財産分与の割合
離婚時の財産分与の割合は、原則として「2分の1」です。
これは収入の有無などは関係なく、どちらかが専業主婦(夫)であっても、婚姻が成立していた以上は財産の半分を得る権利があります。
ただし例外として、財産分与が2分の1の割合にならないこともあります。2分の1で財産分与をすることに、公平性が確保できない場合です。
実際にどのような割合で財産分与が行われるのかは、個別の裁判において決定されます。ご自分のケースについて詳しく知りたい場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。