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親族間売買でみなし贈与になるケースは?みなし贈与にならないための注意点も解説

親族間で行う不動産売買において、贈与税が発生するケースがあることをご存じでしょうか。きちんとお金を支払って購入したから贈与ではないと思っていても、取引価格が相場からみて著しく離れていると「みなし贈与」として扱われる場合があります。今回は、親族間売買において「みなし贈与」になるケースや、みなし贈与にならないための対策について解説します。

目次
  1. 親族間売買とは?
  2. みなし贈与とは?
  3. 親族間売買でみなし贈与にならないための注意点
  4. 親族間売買で重要な借入先の選定
  5. おわりに

親族間売買とは?

親族間売買とは、文字どおり、親族同士で売買を行うことで、売買の対象が不動産であれば以下のようなケースが挙げられます。
・親から子どもへの不動産売却
・兄弟間での不動産名義変更に伴う持分売却

親から子どもへの売却は相続対策を目的としているケースが多く、兄弟間で不動産の名義変更を行う際には、共有名義の解消を目的とするケースが多く見られます。

また、資金援助を目的とした、子どもの不動産を親が買い取るケースも親族間売買に該当します。

親族の定義は民法で決められています。
民法725条では「親族の範囲」として、以下のものを親族としています。
・6親等内の血族
・配偶者
・3親等内の姻族

ただし、税務署ではみなし贈与として確認する親族の範囲を明確にしておらず、上記の範囲外の取引でも親族間売買に含まれる可能性がある点に注意しておきましょう。

みなし贈与とは?

みなし贈与とは、民法上では贈与に該当しないものであっても、贈与税の公平性を保つために「贈与」と判断されるものです。みなし贈与と判断された場合、贈与税の課税対象になります。

通常の不動産売買では売り主も買い主も見知らぬ相手であるため利益が相反し、売り主はなるべく高く売りたいと考え、買い主はなるべく安く買いたいと考えます。どちらかが一方的に利益を得るような売買金額にはなり得ません。
しかし、親族間売買では、売り主と買い主の関係性が身内であるため利害が一致し、売買金額が相場から乖離して安くなる傾向があります。
例えば、親が売り主で子どもが買い主となる親子間売買であれば、親は子どもへの愛情からなるべく負担のない金額にしたいと考えます。高値で売りつけようなどとは考えません。むしろ、価格を子どもに自由に決めさせるケースもあります。通常の不動産売買で買い主が自由に金額を決められるなど普通は絶対にありえません。親族間売買ならではのことでしょう。

一見すると、売り主と買い主が合意した金額であるため、なにも問題がないように見えます。
しかし、自由に金額を決められるからといって、あまりに安い金額で売買をしようとすると、税務署が贈与とみなしてしまうことがあるのです。

みなし贈与とされることによるデメリットは、売る側そして買う側双方が税金を支払わなければならなくなることです。
通常の売買であれば、売却した側の売却益に対して所得税が課税され、購入した側は不動産取引に関する税金(印紙税や登録免許税、不動産取得税など)が課せられます。
しかし、みなし贈与と判断された場合は、購入した側に贈与税が課せられることになり、売る側=所得税、購入する側=贈与税と2つの税金が発生します。

〇親族間売買における、みなし贈与とされるケースとは?
では、親族間売買においてみなし贈与とされるケースについて、具体的に見ていきましょう。
親族間売買であっても、その取引価格が相場と著しく離れている場合はみなし贈与とみなされることについては前述のとおりです。

例えば、親から子どもに対して不動産を売却する際に、相場価格が3,000万円であるにもかかわらず、2,000万円で売却した場合、相場との差額である1,000万円は贈与したとみなされ、1,000万円に対して贈与税がかかります。

なお、相場と著しく離れているとみなされる基準は80%といわれており、相場よりも80%以下の低い価格で売却した場合は、その差額が贈与となると考えておきましょう。

親族間売買でみなし贈与にならないための注意点

親族間売買において、みなし贈与と判断されないためには、以下の点に注意する必要があります。

みなし贈与と判断されないためには、不動産の売買価格設定が重要なポイントになります。不動産取引における適正価格には明確な基準はありませんが、社会通念上適正であるかどうかが1つの判断基準といわれています。そのため、売買価格を不動産の評価額の80%を下回らないように設定することが大切です。
一般的に評価額を80%下回る価格での取引は、社会通念上適正でないと考えられるからです。

もちろん評価額の80%を目安にするだけでなく、不動産会社の査定額や不動産鑑定価格なども参考にし、最終的な売買価格を設定することを心掛けましょう。

ほかには路線価をそのまま使用する方法や、路線価を80%で割り戻して売買価格を設定する方法もあります。

親族間売買で重要な借入先の選定

適正な価格で不動産を売買するため、親族間売買を行うにはまとまった資金が必要です。手持ちの資金がなく、金融機関からの融資を検討する方もいらっしゃることでしょう。

自己居宅用として親族間売買を行う場合、不動産の購入という資金使途から、住宅ローンという扱いになります。しかし、親族間売買では住宅ローンの審査が厳しく、利用できないケースがある点も知っておきましょう。
なぜなら、融資した資金を住宅の取得以外の目的で使用される可能性があり、金融機関も慎重になるためです。このような背景から、現在では親族間売買を住宅ローンの利用条件から外している金融機関も多く見られます。

セゾンファンデックスでは、不動産の担保価値を最大限に評価する柔軟な審査を行っており、親族間売買物件の購入にもご利用いただくことができます。
セゾンファンデックスの親族間売買|住宅ローン|銀行などで対応が難しかった方も是非ご相談ください|詳しくはこちら

おわりに

親族間売買ではお互いの関係が深いため、それぞれの都合の良い条件で取引したいと思うものです。しかし、結果としてみなし贈与と判断されるのは本意ではないでしょう。

親族間売買を行う際には、売買価格に注意し、一般的な相場や路線価から80%を下回らない価格で売買を行うなど、みなし贈与と判断されないように細心の注意を払いましょう。売買価格を設定する際には、不動産会社の知識にも頼りながら適正価格で設定することをおすすめします。

適正価格での取引となると、高額の売買になるため、自己居宅用として購入する場合、購入する側は住宅ローンの利用を検討する必要に迫られます。ただ、親族間売買ではさまざまな懸念事項があり、多くの金融機関では親族間売買に対する住宅ローンの融資を行わない姿勢を取っています。

そのようななか、セゾンファンデックスの住宅ローンでは、自己居宅用であれば親子間そして親族間売買にも対応しています。親族間売買のほか、兄弟間での持分の買取資金にも利用できますので、親族間売買などで住宅ローンの利用が必要になった際には、ぜひセゾンファンデックスにご相談ください。
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