自己が所有し使用している不動産に対して、税金(固定資産税)がかかるのは広く知られています。実は、所有しているものの使用していない空き家に対しても固定資産税がかかります。
そこでここからは、空き家にかかる固定資産税の税額について、計算方法やシミュレーションを紹介していきます。
固定資産税の計算方法
空き家の固定資産税がいくらくらいになるのか、計算方法を紹介します。
固定資産税とは、「課税標準」を基準に計算します。土地や建物の売買価格ではないという点がポイントです。
具体的な計算方法は「課税標準」×1.4%で算出します。さらに都市計画区域内に土地や建物が存在する場合には、都市計画税として「課税標準」×0.3%が上乗せされます。
ただし固定資産税や都市計画税は、市町村によって税率が若干異なる場合があります。さらに、これらの課税標準額が一定の金額に満たない場合には、課税されないことになっています。一定の金額とは、土地では30万円、建物では20万円です。
前述の計算方法が原則となりますが、一定の要件を満たすことで減額される特例の対象となることがあります。
住宅やアパートなどの敷地として利用されている土地の場合、「住宅用地の軽減措置特例」の対象となり、税金が安く抑えられます。具体的な要件として、200平方メートルまでの部分に対し固定資産税が1/6に減額され、200平方メートルを越える部分に対しては固定資産税が1/3に減額されます。
固定資産税のシミュレーション
ここから、空き家の固定資産税を計算するためのシミュレーションについて紹介します。まず、空き家の固定資産税を計算する手順は次の通りです。
- ・固定資産税評価額を確認する
- ・課税標準額を計算する
- ・建物、土地それぞれの固定資産税を計算する
- ・ 都市計画税の対象となる場合はあわせて計算する
前述のとおり、固定資産税の計算基準となる金額は、売買代金などではありません。固定資産税評価額は、市町村が発行する固定資産税の納税通知書や固定資産税評価証明書に掲載されています。なお、固定資産税評価額は建物の構造によって異なります。
次に、課税標準額を計算するにあたり、適用できる軽減措置や特例がないか確認しておきましょう。減免される割合を固定資産税評価額から差し引き、課税標準額がいくらになるか計算します。主な軽減措置として前述の「住宅用地の軽減措置特例」があります。
そして最後に土地、建物それぞれの固定資産税を計算します。都市計画税の対象となる地域に所在している場合には、こちらもあわせて最後に計算します。
具体的なシミュレーションは次の通りです。
- ・面積200平方メートルの住宅用地
- ・固定資産税評価額:1,500万円(土地1,000万円・建物500万円)
【計算式】
〇土地
1,000万円×1/6×1.4%=約23,000円
〇建物
500万円×1.4%=7万円
住宅用地で200平方メートルちょうどですので、前述の「住宅用地の減額特例」のうち小規模住宅用地(200平方メートル以下)に該当し、土地の固定資産税評価額が1/6になります。したがって、次の計算式で求めた結果、この場合の固定資産税は約93,000円ということになります。
特例を使わない場合、土地の固定資産税評価額は14万円なので約117,000円もの差が出ます。