貯金を切り崩してなんとか生活していても、今後の生活費のことを考えると誰しも不安です。友人や知人に、経済的な事情は相談しづらく、ひとりで抱え込んでしまう人も少なくありません。もし、実際に介護破産をすれば、考え抜いて選択した「退職」を後悔することにもなるでしょう。ここでは、安心して家族介護を継続できる生活環境を整える方法を紹介します。
(1)介護保険制度を活用
介護保険制度の第一号被保険者は65歳以上、第二号の被保険者は、医療保険に加入している40歳以上65歳未満が対象です。お住まいの市町村窓口で要介護認定の申請を経て、要介護状態だと認められた場合に介護サービスが利用できます。介護支援専門員(ケアマネジャー)が生活課題を明確にし、その人に応じたケアプランを作成してくれます。生活課題を解決できるよう、訪問介護やデイサービス、福祉用具などの各サービス事業所と調整してくれます。
利用料は、本人の年金や給与などの所得に応じて、1割から3割の負担額が決まっています。本人の所得で賄えない場合は、家族の支払いが必要になります。なかには、経済的な理由で十分なサービスを受けられない方も少なくありません。
(2)セゾンのリースバックを活用
リースバックとは、ご自宅を売却して現金化し、売却後も住み続けることができるサービスです。以下のような特徴があります。
自宅に住み続けながら介護ができる
人は住み慣れた環境に安心するものです。当たり前になった部屋の間取り、壁や床の素材、窓からの景色は、その人の居場所であり、居心地に大きく影響しています。
環境変化によってストレスが蓄積し、心身に悪影響があることを「リロケーションダメージ」といいます。高齢者が介護施設に入居する場合は、介護職が新しい生活に慣れるように専門的にサポートしてくれますが、家族介護で転居した場合は、介護をしている家族の心労の増強になりかねません。
何よりも要介護者のストレス軽減のためにも、本人が慣れ親しんだ場所での暮らしが望まれています。
自宅の売却代金によって生活費や介護費用を捻出できる
経済的な安心は、生活そのものの安心といっても過言ではありません。デイサービスやショートステイ(お泊り)など、介護サービスの選択肢が広がります。介護サービスの利用中は、ご自身の生活時間の確保や休息、趣味活動でリフレッシュでき、介護疲れを和らげることが期待できます。
介護保険制度では、これを家族のための「レスパイトケア」といい、推奨しています。身体的な負担の軽減だけではなく、精神的な支えをもつことで、ご自身の健康管理につながります。
また、要介護者が介護職員や他利用者との社会交流を維持することにもなり、家族双方が適度な距離感をもって接することができるようになった、とニーズの高いサービスを利用することができます。
介護サービス利用により、早めの社会復帰がかなう
レスパイトケアの積極的な利用で、ご自身の自由な時間と心身の健康をもって、就職活動や新しい資格取得に臨むことができます。また、在宅勤務や自営型テレワークなど家族介護を経ての働き方の確立など、心機一転して、新たな生活を始めることが期待できます。
介護離職が成功するカギは、有効な情報と公的・民間の両サービスの活用です。