この記事の監修者 |
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氏名 | 熊谷正和(くまがやまさかず) |
保有資格 | CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャルプランニング技能士 |
所属 | ライフアート・コンサルティング株式会社 |
監修日 | 2023年3月30日 |
たとえば実家を所有している親が共に亡くなった場合、空き家にして放置しておくことは防犯などの問題から可能な限り避けたい選択肢です。そのため、親が存命のうちに、実家の処分について家族で話し合っておくことをおすすめします。
では、実家を処分するにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、考えられる3つの方法と、それぞれのメリット・デメリットについて検証してみましょう。
(1)売却
実家が今後相続で不要であれば、処分方法としてまず考えられるのは、売却して処分する方法です。
メリット
売却代金としてまとまった現金を得られるので、生活費や老後資金の準備もできるほか、相続時の遺産分割がスムーズになります。
デメリット
・賃貸物件が借りづらい場合がある
親が高齢の場合、賃貸住宅を借りる際は、孤独死、収入面などの理由から契約を断られる場合があります。
・環境変化のストレス
一般的に、年齢を重ねると人間関係は広がりづらく固定化される傾向があります。
引越しで住み慣れた家やご近所の友人などから離れることで、他者との交流が希薄になり孤独感を感じながら生活する方も多くいらっしゃることでしょう。
・家財整理の手間
家の売却時には、当然、家の中に荷物を残したままでは売却することができません。
特に次の家が現在よりも狭くなる場合には思い切った整理が必要です。大型の家具家電、大量の荷物は高齢の方には大変な作業になる一方、業者に依頼するとかなりの費用になることが予想されます。
(2)賃貸に出す
実家を売却したくないという場合には、賃貸物件として貸し出すことも選択肢のひとつです。
メリット
借り手が見つかれば、一定の家賃収入を得ることができます。また売却して人手に渡るわけではないので、思い入れのある家を手放さずにすみます。
デメリット
・個人で管理する場合、手間がかかる
建物状況や設備の不具合に関する苦情、家賃が滞納された場合の回収対応など個人で管理するにはかなりの手間がかかることが予想されます。
また所有者が所有物件から離れたところに住んでいたり、他に本業などがあったりする場合は、迅速な対応が難しく、入居者とのトラブルに発展する可能性もあります。
・管理会社委託の場合、費用がかかる
管理を自分でしなくてもよいので、時間的にも精神的にもゆとりを持つことができる一方、管理費用を管理会社へ支払わなければならないので、ランニングコストがかかります。
他にも、賃貸に出す場合は入居者のために家を明け渡さなければいけないので、売却と同じように引越し先探しや住環境の変化のストレス、家財整理の手間もデメリットとして挙げられます。
(3)身内の誰かが引き継ぐ
思い入れのある家を売却して人手に渡したくないという場合には、身内の誰かに移り住んでもらい同居するか、あるいは将来的に住んでもらうことも選択肢のひとつです。
メリット
愛着ある家を手放さずにすむほか、当人である親の住環境を大きく変える必要はありません。やりとりする相手は第三者ではなく身内のため、安心できることもメリットといえるでしょう。
デメリット
将来的に相続が発生した場合に、実家を相続しない人に対して平等にするにはどうしたらいいか、ほかの遺産をどうするかなど、遺産分割についてもめる可能性があるため、よく話し合わなくてはいけません。
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