この記事の監修者 |
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氏名 | 吉田雅一(よしだまさかず) |
保有資格 | 税理士 |
所属 | L&Bヨシダ税理士法人 |
監修日 | 2023年1月19日 |
不動産担保ローンを活用する場合、「共有名義」「共有持分」とは何かを正確に理解しておくことが非常に重要です。共有名義とは何を意味するのか、具体的にどのようなパターンがあるのかを見ていきましょう。
(1)共有名義とは?
共有名義とは、一つの不動産を2人以上の所有者が共有していることを指します。たとえば自宅を夫婦の名義で所有している場合、自宅の所有権は夫婦の共有名義です。
名義人ごとの所有割合のことを「共有持分」といいます。共有持分は建物や土地を何人で利用しているかによって決まるわけではありません。不動産購入時の出資金額に応じて共有持分が決定し、不動産登記簿に記載されるのです。
夫婦2人で建物や土地を共用しているからといって、共有持分が2分の1ずつとは限らない点に注意しましょう。
(2)どういうパターンがある?
共有名義の不動産について、具体的な例を見ていきます。
【パターン1】
土地・建物を6,000万円で取得した場合
・夫の出資金額:3,000万円
・妻の出資金額:3,000万円
上の例では不動産取得費6,000万円を夫婦で2分の1ずつ出資しているため、共有持分は夫が2分の1、妻が2分の1です。このように、出資金額が均等であれば共有持分も均等になります。
【パターン2】
土地・建物を6,000万円で取得した場合
・夫の出資金額:2,000万円+住宅ローン2,000万円
・妻の出資金額:2,000万円
上の例では現金での出資金額は夫婦とも同額ですが、夫名義の住宅ローン2,000万円も不動産取得費用に含まれます。したがって、共有持分は夫が3分の2、妻が3分の1です。持分割合を算出する際には、住宅ローンも含めて名義人の支払った総額で考える点に注意しましょう。
【パターン3】
妻の両親が土地を贈与し、その土地に3,000万円で取得した建物を建てた場合
・夫の出資金額:1,000万円+住宅ローン1,000万円
・妻の出資金額:1,000万円
出資金額だけを見ると、共有持分は夫が3分の2、妻が3分の1のように思えるはずです。しかし、土地に関しては妻が両親から譲り受けたわけですから、所有権は妻にあります。したがって、建物の共有持分は夫が3分の2、妻が3分の1です。夫が事業資金の融資を受ける場合、土地は担保にできない点に注意しましょう。