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【税理士監修】個人事業主が廃業するときの手続きとその費用とは?

廃業するときには廃業届などの複数の手続きが必要です。 明確に提出期限が決まっている書類もあるため、事前に把握し計画を立てることが大切です。 また廃業にかかる費用もチェックし、併せてスケジューリングしましょう。

目次
  1. 税務署へ提出する廃業に関する書類
  2. 都道府県税事務所
  3. 廃業手続きに必要な費用
  4. 廃業のための5つの資金調達方法

税務署へ提出する廃業に関する書類

この記事の監修者
氏名吉田雅一(よしだまさかず)
保有資格税理士
所属L&Bヨシダ税理士法人
監修日2023年1月12日

個人事業主が所轄の税務署へ提出しなければならない書類はこちらです。
ひとつずつ解説していきましょう。
①個人事業の開業・廃業等届出書の提出
②所得税の青色申告の取りやめ届出書の提出
③事業廃止届出書の提出
④給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書の提出
⑤所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の提出

①個人事業の開業・廃業等届出書の提出
個人事業主が廃業するときには、「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
期限は廃業した日から1カ月以内です。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。

②所得税の青色申告の取りやめ届出書の提出
青色申告を行っている個人事業主は、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までに提出します。
記入欄のなかに、「青色申告書を取りやめようとする理由」という項目がありますが、廃業時は「廃業のため」と記載します。

③事業廃止届出書の提出
消費税を支払っていた「課税事業者」は、「事業廃止届出書」を、事由が発生してから速やかに提出します。
国税庁:事業廃止届出書

④給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書の提出
従業員や事業専従者に対して給与を支払っていた個人事業主は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を廃止から1か月以内に提出に提出します。
国税庁:給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

⑤所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の提出
所得税を予定納税している個人事業主が廃業することにより、所得税等の見積額が予定納税基準額より少なくなる場合には、予定納税額の減額を求めることができます。
その場合には、「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」と申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類を1部添付し、以下の期間に提出します。
・第1期分及び第2期分の減額申請:その年の7月1日〜7月15日
・第2期分のみの減額申請及び特別農業所得者の減額申請:その年の11月1日〜11月15日
※提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限
国税庁:所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書

都道府県税事務所

個人事業主は、上記の税務署への提出書類の他、所轄の都道府県税事務所への廃業届の提出をしなければいけません。
使用する様式や提出期限は各都道府県税事務所によって異なりますので、必ず事前の確認をしましょう。

様式や提出期限は都道府県税事務所の公式ホームページで確認ができます。
各都道府県の提出期限にはばらつきがあるため、注意が必要です。
東京都の場合:事業開始(廃止)等申告書を廃業の日から10日以内に提出
大阪府の場合:事業開始・変更・廃止申告書を廃業した日から遅滞なく提出

廃業手続きに必要な費用

個人事業主は法人と違い、登記などは必要ではないので、上記の税務署への提出書類の他、所轄の都道府県税事務所への廃業届の提出に費用がかかりません。

しかし、2019年版中小企業白書によると、発生した廃業の費用総額は37.3%が1円〜50万円未満に収まっている一方で、36.2%が100万円以上かかっています。
個人事業主が廃業のために必要となった費用はこちらです。

設備の処分費用
業種や規模によって設備の大きさや個数は異なりますし、中古品として売ることが出来ないほど使いこまれた設備や独自にカスタマイズした設備を持っている場合もあるでしょう。
売却したり譲り渡したりできればいいのですが、そう簡単ではありません。


従業員の退職金
従業員のための退職金制度を定めるかどうかは、個人事業主の自由です。
ただし、退職金制度を定めたのであれば支払い義務が発生しますので、退職金を支払う必要があります。

事前に退職金を支払うつもりで、退職金規定を定めた上で「中小企業退職金共済制度」に加入して毎月掛金を支払っていた場合、退職金を用意するために頭を悩ませる必要はありません。
従業員に退職金が支払われるよう、定められた手続を行います。

一方で長く務めた従業員、まだまだ働ける従業員に対し、少しでも渡したいと決断する人情味溢れた方もいらっしゃるでしょう。
その場合には、一気に費用がかさんでしまうことになります。

ですが、廃業後の個人事業主自身の生活もあるわけですから、廃業を決めたときにまとまった額を退職金として用意することはかなりの思い切った決断と言えるでしょう。


在庫処分費用
物としての商品を販売している場合は在庫があります。
廃業時には、それらの商品を処分価格で販売したり、廃棄をしたりして処分しなければいけません。
廃業を決断したら、余剰が大きくならないよう計画的に在庫をコントロールし、損失をなるべく小さくしましょう。


店舗・工場などの現状回復費用
店舗や工場を借りていた場合には、原状回復費用が必要です。
業種や規模、場所などによっても大きく費用額は異なるので一概には言えませんが、この費用が総費用を左右するものであることは確実です。

廃業のための5つの資金調達方法

(1)金融機関の融資
近年は廃業の増加から廃業支援に力を入れ、廃業を検討する個人事業主に対し、廃業支援の融資やローン商品を用意したり、融資を含めたサポートを提供したりする金融機関も増えてきました。
ただし、廃業したら収入がなくなることから、通常の融資より資金調達は難しくなるでしょう。

(2)小規模企業共済の廃業準備貸付け
中小機構が運営する小規模企業共済制度に加入し、積み立ててきた方は、設備の処分費用、事業債務の清算等、廃業の準備に要する資金を低金利で借入れることができます。
借入れの限度額は50万円以上1,000万円以内(5万円単位)ですが、掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7〜9割)の点に注意しましょう。
廃業予定日の1年前から申し込みをすることができます。


廃業費用が必要なのに、資金調達が難しい方のために、スムーズに廃業ができるよう、不動産を活用して資金調達する方法をご紹介します。

(3)■不動産売却前提ローンを活用する
不動産売却前提ローンは、売却予定の不動産を担保に資金調達し、不動産の売却代金で返済をするローンです。
・売却中の不動産の売却代金が入金をあてにしていたのに、資金が必要なときに入間に合わない。
・不動産を売りに出したものの、売却完了は当分先。
このようなお悩みを解決できます。

不動産売却前提ローンは不動産の売却代金で一括返済するローンのため、毎月の支払いは利息分のみになり、負担は軽く済むことがポイントです。

また急いで無理やり売却しようとすると、望価格を下回る金額で売却せざるを得ず損をしてしまう場合や条件面で譲歩して不満の残る取引になってしまう場合があり、こうした不動産売却時のリスクを避けることができます。
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(4)■セゾンのリースバックを活用する
廃業予定日まである程度の期間があるけれど、廃業に向けて資金が必要な方には、リースバックをおすすめします。
必要な店舗や工場などの事業継続に必要な不動産を売却し資金を得るにもかかわらず、退去の必要がないので営業が続けられます。

●リースバックとは?
リースバックとは、不動産を売却して現金化、売却後も賃貸という形で利用できるサービスです。
ご自宅の場合は、住み慣れた自宅で生活しながら、まとまった資金を調達することが可能です。
また店舗や事務所、工場の場合は、営業を続けながら資金を得ることができます。

セゾンのリースバックでは、お客様の大切なご自宅や店舗をセゾンファンデックスが買い取り、お客様は賃貸として退去せずに、ご自宅であれば住み続けられますし、店舗であれば営業を続けることができます。
セゾンファンデックスが買主となり、直接お客様の不動産を購入いたします。
ですので、廃業予定日まである程度期間があるけれど資金が必要な方の、自宅兼店舗や店舗、工場など事業継続する不動産にぴったりのサービスです。
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(5)■任意売却
廃業を目前にし、店舗や工場といった不動産処分にお困りの方や資金が不足している方には任意売却をおすすめします。
スピーディな現金化も可能なので、廃業スケジュールの心配も軽くなります。

●任意売却とは?
任意売却とは、不動産を売却しても債務が残ってしまう状況において、債務者(お金を借りた側)と債権者(お金を貸した側)の間に専門家が入って調整を行い、不動産を競売にかけずに納得のいく価格で売却し取引を成立させることです。
通常は残ってしまう債務の返済を、売却と同時にしなければならず、不足分を手持ちから出さないと売ることができませんが、任意売却であれば分割返済が可能になる場合があります。
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