まず、介護費用は平均でいくらかかるのかについてみていきましょう。
(1)在宅介護の場合
生命保険文化センターの
2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査によると、在宅介護で必要になる費用は月額48,000円です(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)。また、介護期間は平均で5年1ヶ月となっており、その間の介護費用は約293万円にものぼります。
在宅介護では居宅サービスを利用する方法が一般的ですが、1ヶ月の利用限度額は介護を受ける方の要介護度別に分かれています。
要支援1:50,320円
要支援2:105,310円
要介護1:167,650円
要介護2:197,050円
要介護3:270,480円
要介護4:309,380円
要介護5:362,170円
この限度額内で居宅サービスを利用した場合は1割負担(一定以上の所得がある方は2割もしくは3割負担)で利用できます。ただし、利用限度額を超えた部分については全額が自己負担になります。
(2)介護施設に入所する場合
介護施設に入居した場合は、その施設が個室なのか、相部屋なのかによって自己負担額が異なります。
例えば、要介護5の方が介護施設に入居した場合、相部屋と個室では毎月の費用負担が以下のように異なります。
費用項目 | 相部屋 | 個室 |
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施設サービス費(1割負担) | 約25,200円 | 約27,900円 |
居住費 | 約25,650円 | 約60,180円 |
食費 | 約43,350円 | 約43,350円 |
居住費 | 約25,650円 | 約60,180円 |
日常生活費 | 約10,000円 | 約10,000円 |
合計 | 約約104,200円 | 約141,430円 |
※厚生労働省HP
「介護事務所・生活関連状況検索 サービスにかかる利用料」より作成
相部屋と個室で大きく変わるのはやはり居住費です。そのため、合計で37,230円の差が生じます。
もし、要介護5の方が平均介護期間である5年1ヶ月を個室で過ごした場合、負担額は約863万円となり、在宅介護と比べ高額な介護費用が必要になることが分かります。
(3)医療費も必要
また、居宅サービスもしくは介護施設を利用している場合でも、その間の医療費がかかります。
厚生労働省
「医療に関する基礎資料 令和2年度の医療費等の状況」によると、1人あたりにかかる医療費は年齢とともに高くなり、特に80歳以降になると、入院の割合も高くなります。
また医療費の自己負担額は70歳?74歳で7.1万円、75歳?79歳で6.5万円、80歳?84歳で7.4万円、85歳以降になると8万円を超える医療費がかかるとされています。
さらに80歳を超えると入院日数も長くなり、平均30日以上の入院が必要となっています。もちろん高額療養費制度も用意されていますが、後期高齢者だったとしても、収入によっては高額の負担となる可能性があります。