容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことです。延床面積は、建物の全ての階の床面積を合計したものです。計算式で表すと以下のようになります。
容積率=延床面積÷敷地面積×100(%)
容積率が高いほど大きな建物を建築できますが、地域により上限が決められており、上限を超える建物は建築できません。
容積率の上限は用途地域により定められています。用途地域とは、用途の制限や建て方のルールが定められている区分けのことです。用途地域では、地域を用途により住居、商業、工業など12の種類に分けて、同じ種類の土地利用を集めることにより、生活環境や業務の利便性を守る役割があります。
用途地域ごとの容積率の上限は以下のとおりです。前面道路の幅員や特例による緩和などにより、容積率が変わる場合もあります。
用途地域 | 容積率 |
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第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 田園住居地域 | 50~200% |
第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 近隣商業地域 準工業地域 | 100~500% |
商業地域 | 200~1300% |
工業地域 工業専用地域 | 100~400% |
用途地域の指定のない地域 | 50~400% |
参照元:
国土交通省|容積率規制等について
参照元:
国土交通省|都市計画法・建築基準法:田園住居地域
容積率を定めることにより、高い建物の乱立を防ぎ、風通しや日当たりが確保された快適な生活環境や利便性、地域ごとの景観保護につながります。仮に容積率を定めなければ、建物の大きさに制限がないため、どの地域にも高い建物が乱立してしまうでしょう。
そのため、住宅地として形成される地域は容積率の制限が厳しく、商業や工業など住宅が少ない地域は容積率の制限が緩い傾向があります。
容積率を計算する際に使用する延床面積は、全ての階の床面積の合計ですが、含まれる面積と含まれない面積があります。
延床面積に含まれる部分と含まれない部分は以下のとおりです。
延床面積に含まれる部分 | 延床面積に含まれない部分 |
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・階段部分(1階・2階どちらにも含む) ・バルコニー(建物から2m突き出た部分) ・天井高が1.4m超または床面積が階下の2分の1超の屋根裏収納・ロフト ・地下室のうち全床面積の3分の1を超えた部分 ・車庫や屋根のあるカーポートのうち全体面積の5分の1を超えた部分 | ・吹き抜け ・建物の外にある玄関ポーチ、テラス、ウッドデッキ ・天井高が1.4m以下または床面積が階下の2分の1以下の屋根裏収納・ロフト ・地下室のうち全床面積の3分の1を超えない部分 ・車庫や屋根のあるカーポートのうち全体面積の5分の1を超えない部分 |
延床面積に含まれるか含まれないかは、容積率に直接影響します。建築できる建物の大きさに関わるため、延床面積に含まれる部分をしっかりと確認する必要があります。
容積率オーバーになると罰則はある?
容積率は建築基準法で限度が決められていますが、オーバーしても基本的に罰則はありません。
容積率オーバーの建物は、以下の2種類に分けられます。
違法建築物 | 既存不適格 |
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・建築確認時の予定を変更して建築された建物 ・完了検査で承認されず放置されている建物 ・完了検査を受けていない建物 ・リフォームにより違法となったが是正していない建物 ・完成後に用途変更した建物 | 建物完成後に法改正や条例改正によって容積率の規定に合わなくなった建物 |
違法建築物は違反していることを認識していながら是正していないため、悪質といえます。基本的に容積率オーバーの罰則はありませんが、あまりにも悪質と判断されたり近隣住民から苦情があったりした場合には、是正の指導がされる場合があります。
一方、既存不適格は違法建築物ではありません。建物が完成したときは法律に適していたのに、完成後の法改正・条例改正のために法律に合わなくなってしまった建物であり、意図的に法律を守らないわけではないためです。
既存不適格は費用をかけて是正するよう求められることはありません。ただし、リフォームや建替えの際には現在の法律に合った建築物を建てなければなりません。そのため、建て替え後の建物は、既存の建物より規模が小さくなる可能性があります。