会社員の場合、所得税や住民税は会社から支払われる給与から源泉徴収されます。そのため、納税に対して意識が薄い方も多いでしょう。
一方で法人の場合、法人税や法人住民税などの税金は、利益から自動的に差し引かれるものではありません。1年の利益に対して納税額が決まってから納税するため、納税額が決まったタイミングで手元にお金がない場合、納税の支払いのために資金調達が必要になる可能性があるのです。
1-1.そもそも納税資金とは
法人は事業を継続していくにあたって、以下のような税金を納めなくてはなりません。
- ・法人税
- ・法人住民税
- ・法人事業税
- ・特別法人事業税
- ・消費税および地方消費税
法人税や事業税などは法人が取引によって得た利益に基づいて決まります。そのため、利益から納税することになるので納税資金が不足することはないと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、一時的に手元に資金がなく、納税が困難になるケースも少なくありません。例えば、次の取引に必要な仕入れを行ったことによって手元に資金が残っていない、納品から入金までの間隔が長いケースです。このようなケースでは、業績が好調であっても手元に資金がなく、納税ができない可能性があるので注意しましょう。
融資の対象となるのは?
納税資金が不足する場合は、金融機関の融資でカバーできる可能性があります。しかし、どのような納税資金であっても銀行融資の対象になるわけではありません。
法人税は会社の利益に対して課される税金です。計算上は利益に計上されているケースでも、売掛金に含まれていて現金化されていない可能性があります。現金化されていないということは、将来的にお金が入金されるものの、一時的にお金が手元にないだけです。そのため、融資を回収できる可能性が高く、金融機関は融資の対象としています。
消費税は売上金を回収する際に販売先から預かっているものです。納税時期が到来したタイミングでまとめて納めます。つまり、消費税の納税資金が不足しているということは、預かっている消費税を勝手に使用したということです。そのため、消費税の納税資金の不足は自己責任なので、金融機関は融資の対象外としています。