前述しましたが、
65歳からの30年間で公的年金などで補えない老後資金の不足分は2,000万円になるとのレポートを金融庁が発表しました。
老後貧乏にならないためには大金が必要なのです。
金額もそうですが限られた期間で必要な金額を貯めるのはかなりハードルが高いと言えるでしょう。
老後資金を準備する方法としてオーソドックスなのは決めた金額をコツコツ貯めていく預貯金ですが、銀行の金利は非常に低く預貯金だけで資産を増やしていくことは簡単ではありません。
私たちができるのは
貯金をしていく一方で、必要額に足りない分については節約や就労などで補っていくことも大事だと言えます。
必要額を貯めるだけでなく、必要額を減らすことも考えていかなければなりません。
貯金についても預けっぱなしではなく利率のよい金融機関に預け替えるなど、地道な努力が必要です。
ここでは
貯金以外に老後資金を準備する方法はどのようなものがあるのかという点についてご紹介していきます。
❶ 生活費を見直して貯める
老後の生活で大切なことは無駄なコストをかけないということです。
まずは生活のダウンサイズに取り組みましょう。
無駄な出費をどれだけ減らせるか、ゲーム感覚でチャレンジすれば、楽しく節約ができます。節約できたお金は賢く貯蓄しましょう。
A. 食費の見直し
意外と衝動買いしやすいのが食品。セール時、空腹時につい余計なものを買ってしまいがちです。
買い物に行く回数を減らし、買い物をしない日を作るだけで効果があります。
台所にある食材だけで作る、あるもので済ます習慣をつけることが節約の近道です。
B. 通信費・スマホ代の見直し
キャリア携帯から格安SIM・格安スマホへの乗り換えをお勧めします。
通信・通話料を月額2,000円ほどに抑えることができます。
また携帯電話、家庭のインターネット、電気料金などがセットで安いプランもありますので併せて検討すべきでしょう。
利用していない有料アプリなども解約しましょう。
C. 車関連支出の見直し
自動車の維持費は、大きな負担です。
ガソリン代をはじめ、税金、車検代、定期点検代、保険料、修理費、駐車場代、ローンなどさまざまな費用がかかります。
週末に乗るだけなのであれば、思い切って処分も考えましょう。必要なときは、レンタカー、タクシーなどを利用するのも手です。
D. 保険の見直し
生命保険の必要保障額はライフステージごとに変わります。
一般的には子どもの成長などに応じて必要保障額は減っていきますから、保障が必要な期間が終われば生命保険の見直しは必要でしょう。
医療保険についても民間の保険ありきの必要はありません。
平均寿命が延び、高齢になればなるほど病気に対するリスクは高まりますが、保険料の高い医療保険に入らなくても公的な医療保険である「健康保険」に入っていますので、高額療養費制度を利用すればわずかな負担で済みます。
保険ではなく貯蓄で備える方が賢明という考え方もあります。
将来、介護の必要が生じたり、有料老人ホームに入ったりすることを考えると、保険はやめて貯蓄に回しておいたほうが良いでしょう。
E. 住宅の見直し
持ち家で定年後も住宅ローンの返済が続く方は、早めに完済を目指しましょう。
繰上げ返済が厳しい場合には定年後にローンが家計を圧迫する可能性もありますので、住み替えを検討する必要もあるでしょう。
賃貸の場合は、老後も賃料の支払いが続くので収入や家族構成、暮らし方に応じてダウンサイズを検討しましょう。
❷ できるだけ長く働いて貯める
身体が元気であれば、
働き続けることが大事です。収入が増えるということは、毎月の生活費で足りない分がカバーできるということであり、
老後資金の大きな補てんになります。
前述の金融庁のレポートによれば、高齢夫婦世帯における家計の赤字は毎月約5万円です。
決して稼げない金額ではありません。しかも2人で5万円稼げばいいと思えば、かなりハードルが低いと言えます。
現役時代と同じ量・同じレベルの仕事でなくてもいいのです。
無理をせずにのんびりと働くことができれば、健康面や精神面でもプラスになるでしょう。
もちろん、今までの知識や経験を活かして働ければベター、慣れ親しんだ職場で継続して働ければベストと言えます。
サラリーマンの場合、今のところ定年後の再雇用制度を使っても65歳までしか働くことができませんが、70歳まで延長しようという動きもあります。
そうでなくても、定年後のシニアを積極的に採用するところは今後もますます増えることでしょう。
一方で、自営業の方は定年はないものの、公的年金の支給額が満額でも6.5万円と少額ですので、できるだけ長く働いて収入を得る必要があります。
❸ 金融商品を使って貯める
老後資金を運用せずに取り崩すだけでは、資金がショートする可能性があります。
年金不安などに対処するには、お金は預貯金だけで眠らせておかず、しっかり運用することも大事です。
ただ、リターンが大きいからと言ってリスクの高い投資商品に手を出して、老後資金が減ってしまっては意味がありません。
リスクが相対的に低く、税制優遇が受けられる以下の商品を利用して運用を始めてみてはいかがでしょうか。
ただし、いずれも「投資」であることには変わりません。
資産が目減りしてしまうリスクもありますので注意が必要です。
A. NISA(少額投資非課税制度)を利用する
NISAは少額投資非課税制度ともいわれ、株式や投資信託などに投資でき、運用益や分配金にかかる約20%の税金が非課税になります。
年間非課税枠は、一般NISAが120万円(5年間)、つみたてNISAが40万円(20年間)、ジュニアNISAが80万円(5年間)となっています。
関連リンク:
金融庁「 NISA特設ウェブサイト」
B. iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する
iDeCo(イデコ)とは、ご自分で掛金を毎月積み立て、ご自分で選んだ運用方法で運用し、掛金とその運用益との合計額を年金または一時金で60歳以降に受け取ることのできる個人型確定拠出年金です。
「掛金は全額所得控除対象」・「運用益や分配金は非課税」・「年金または一時金での受け取り時に一定額まで非課税」という3つの税制優遇を受けられるメリットがあります。
ただし、職業や他の年金制度との関係で、利用上限額が設けられています。具体的には自営業が月額68,000円、サラリーマンなどは月額23,000円(勤務先にほかの年金制度がない場合)が上限となっています。
年金が少ない自営業の方におすすめです。
関連リンク:
金融庁「iDeCo公式サイト」