人生の三大支出(住居費(住宅費)、教育費、老後資金)と呼ばれるほど家計の固定費のなかでも特に金額が大きい住居費。
老後の住まいは、持ち家と賃貸どちらが良いのか。
人生100年時代と言われ、平均寿命が延びている今、早めに老後について考えておく必要があります。
持ち家・賃貸のメリット・デメリットを項目ごとに比較してみましょう。
(1)初期費用の負担
持ち家の方が負担が大きいです。
○持ち家
頭金、ローン費用や不動産取得税や登記手数料、物件仲介手数料などの諸費用など、相場として物件価格の3〜10%程度初期費用が必要と言われています。
○賃貸
敷金、礼金、不動産手数料がかかりますが、月額家賃が基本となり、最大でも5カ月程度と言われています。家賃にもよりますが、持ち家と比べ初期費用はさほど大きな費用にはなりません。
(2)ローン返済と家賃負担
持ち家は、初期費用の負担は大きいですが、住宅ローンの支払いが終わった後は住居にかかる費用が賃貸に比べて少なくなります。
賃貸であれば、初期費用の負担は少ないですが、賃貸で住み続ける限り毎月家賃が発生します。
持ち家のローン返済と賃貸の家賃負担の総額は、住むエリア・ローンの条件などにより変わるため単純に比較することはできません。
○持ち家
現金で一括購入するケースは少なく、一般的には大半が住宅ローンを組みます。住宅ローンは完済まで毎月ローン返済をしなければいけませんが、完済すれば毎月の支払いはなくなります。
○賃貸
毎月の家賃の支払いが発生し、賃貸物件に住んでいる限り払い続けなければいけません。
(3)ローンリスク
自宅を購入する場合、現金で一括購入するケースは少なく、一般的には大半の方が住宅ローンを組むため、リスクが伴います。
○持ち家
収入減や生活が苦しくなった際、返済することが困難になります。
また、返済ができなくなり売却をしても値下がりしていた場合には売却は難しくなり、売却できたとしても全て返済できずローンが残った場合には、家を失った上でローン返済も続くといったリスクも考えられます。
○賃貸
賃貸なのでローンリスクの想定は不要です。生活が苦しくなれば、家賃の安いところへ引越しすることも可能です。
(4)維持・修繕費などの諸費用
持ち家では、維持・修繕費といった費用の負担をしなければいけません。
・固定資産税
固定資産税とは、土地や家屋といった固定資産の所有者に課税される税金です。持ち家であれば、毎年納付しなければいけません。
○持ち家
自宅を所有している限り毎年納付する必要があります。
そのため、住宅ローンが返済した後も負担し続けなければいけません。
○賃貸
賃貸物件のため、一切不要です。(物件を所有しているオーナー・大家さんが負担)
・メンテナンス費用
賃貸では、オーナーや管理会社が負担をしてくれるため、基本的には負担がありません。
○持ち家
修繕・メンテナンスにお金がかかります。
マンションの場合は、管理費や建物の診断や修繕工事を行うために充てられる修繕積立金の負担があります。
○賃貸
自然故障である限り、原則オーナーが負担しますので自己負担はありません。
・火災保険料
火災保険とは、損害保険の一種で火災や落雷、風水害などの事故によって生じた建物や家財の損害を補償する住まいの保険です。
建物とは建物本体やそれに付帯する門・塀・物置や車庫などのこと、家財とは建物の中にある衣服や家電・家具などのことを言います。
火災保険は、持ち家でも賃貸のどちらも加入が必要ですが、保険料が安いのは賃貸になります。
○持ち家
建物と家財に火災保険をかけることになります。建物にも保険をかけるため、その分保険料がかかります。
○賃貸家財だけに火災保険をかけることになります。
(5)資産形成
持ち家はローンを完済すると家が資産として残り、いざというときはまとまった資金源となります。
また、将来子どもに財産として残すこともできます。
○持ち家
自分の資産となります。
○賃貸
家賃を払い続けても自分の資産にはなりません。
(6)リフォーム
持ち家であれば、リフォームが自由に行えます。
○持ち家
壁紙の張り替え、間取りの変更、バリアフリーなど自由にリフォームが可能です。
○賃貸
基本的にリフォームができないです。
(7)住み替えや引越し
気軽に住み替え・引越しできる賃貸に対し、持ち家では簡単には住み替え・引越しできません。
○持ち家
簡単には住み替え・引越しはできません。住み替え・引越しをするためには、持ち家を売却しなければいけません。
売却する場合、買い手が見つからない、購入金額よりも差異が出る、住宅ローンを組んでいる場合は売却金額によっては住宅ローンが残るといったリスクが考えられます。
○賃貸
家族構成やライフスタイルの変化、収入減・急な転勤などに合わせて、住み替え・引越しができます。
(8)住まいの確保・安心感
持ち家であれば、将来の住み続けられる住まいを所有している安心感を得ることができます。
○持ち家
生涯住まいに困ることはなく、住む場所があるという安心が得られる。また、社会的信用も高まります。
○賃貸
不動産会社・オーナーの都合で賃貸契約を継続できない場合があります。
仮に継続できない場合でも、安定した給与所得があれば賃貸物件を変えることは容易ですが、高齢の場合には賃貸物件を借りることが容易ではありません。