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老後資金

インフレや物価高は年金生活にどう影響する?インフレに備える方法を解説

最近のインフレ下では、毎月のようにモノの値段が上がっています。今後も物価の上昇が続いていくと、年金生活にどのような影響がでるのでしょうか。今回は、インフレが年金生活に与える影響と、インフレに備える方法について解説します。

目次
  1. インフレのときに起こることとは?
  2. 公的年金はインフレで今後どうなる?
  3. インフレに備えるためにできる4つの対策
  4. まとめ

インフレのときに起こることとは?

インフレには、良いインフレと悪いインフレがあるといわれています。良いインフレとは、企業の業績が上がることで給与が上がり、消費活動が活発になることによってモノの値段が上がることです。つまり景気の拡大を示しています。
一方、悪いインフレとは、原材料の上昇により、企業の業績が圧迫されるにもかかわらず、物価が上昇することで、現在の物価上昇はどちらかというと悪いインフレに近い状況にあるといえます。

また、日本銀行は金融緩和の強化を行っており、その一環として消費者物価指数が安定的に前年比上昇率2%を超えるまで金融緩和を継続するとうたっています。ただ、2022年の12月には大規模な金融緩和政策の修正を決め、長期金利の上限をそれまでの0.25%程度から0.5%に引き上げています。
しかし、2023年の6月には物価上昇率が2%を上回っているにもかかわらず、大規模な金融緩和の維持を決め、結局従来の金融緩和政策がそのまま続けられることになりました。

実際に物価の上昇により、年金生活者の生活費はどの程度増えているのでしょうか。
総務省の家計調査年報をみると、2021年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は224,436円(単身世帯:132,476円)だったのに対し、2022年には236,696円(単身世帯:143,139円)と5%?8%の増となっています。そして、可処分所得から消費支出を比較したときの不足分をみると、2021年には夫婦のみの世帯で18,525円(単身世帯:9,402円)だったのが、2022年には22,270円(単身世帯:20,580円)と大きく増えていることが分かります。この不足分はインフレによってもたらされた金融資産の価値の減少も影響しています。

政府および日銀の政策である「インフレ率2%」を維持したまま物価の上昇が続くと、現在の低金利下での金融資産は2%目減りすることになります。つまり年2%ずつ資産価値が減ることになるわけです。
そうなると、20年後の1,000万円は現在の物価に換算すると、約668万円まで目減りすることになります。

公的年金はインフレで今後どうなる?

公的年金の額は毎年マクロ経済スライドで調整されますが、物価上昇をすべてカバーできるほどの増額ではありません。
年金は賃金や物価の上昇があった場合は、マクロ経済スライドによって調整されることになっています。その調整率は0.9%程度といわれています。
物価の上昇率が2%だとしたとき、年金改定率は2%-0.9%=1.1%と求めることができ、物価上昇分の約50%しか増えないことになります。
事実、2023年4月に発表された公的年金の改定額は前年比2.2%の引き上げ( 昭和31年4月2日以後生まれの場合)ですが、物価上昇率は2023年に入ってから前年同月比3%以上を推移しています。つまり、物価の上昇をカバーできるほどの引き上げは行われていません。ちなみに公的年金改定額が上昇したのは久しぶりで、2022年までは引き下げの傾向にありました。

仮にこのまま物価が2%で上昇していった場合の5年後、10年後、20年後の支出額と現在の資産価値はどのように変わっていくのか、表にしてみました。

物価の上昇が家計に及ぼす影響(65歳以上無職夫婦2人世帯)
消費支出額1,000万円の価値
2022年236,696円1,000万円
5年後推定額261,332円約904万円
10年後推定額288,531円約817万円
20年後推定額351,718円約668万円


このまま2%で物価が上昇すると仮定すると、5年後の支出は約24,636円の増加、10年後には51,835円、20年後には115,022円の増加になります。
それに対して、2022年に手持資産として持っていた金融資産1,000万円の価値は20年後には668万円まで下がることになります。

したがって、収入のほとんどが年金になる無就労の世帯では、物価上昇に伴って増える生活費を自分で確保しなければいけませんが、資産の目減りにも注意が必要です。

インフレに備えるためにできる4つの対策

では、インフレ(物価上昇)に備えるためにできる方法としてどのようなことが考えられるのでしょうか。

(1)毎月の収支を見直す

まずは支出を見直すことから始めましょう。無駄な支出はないか、まず固定費から見直していきましょう。固定費を見直すことは、家計の見直しの第一歩といわれており、毎月の支出でもあることから、一度見直すとその効果が継続するといわれています。

また、変動費のなかでも大きな割合を占める食費についても、「安いときにまとめて買う」ことや、フードロスをなくすために「保存方法を工夫する」などを取り入れることで削減につなげられます。最近は冷凍保存を活用した保存方法を取り入れている方も増えていますので、興味があるなら試してみましょう。

しかし、節約するばかりでは生活は豊かになりません。逆にストレスを抱える結果を招くことになります。
節約できるところは節約する、使うところは予算を決めて楽しみながら使うなど、生活にメリハリを持たせることが大切です。

(2)年金だけに頼りすぎない、老後の働き方を考える

年金だけに頼らず、年金以外の収入を確保する考え方も大切です。厚生労働省では70歳までの雇用機会の確保を企業に義務づけています。浸透していけば70歳まで働くこともできるでしょう。

ただ、このようにシニア人材活用に向けた社会の動きはあるものの、健康面を考えるといつまでも働き続けるのは難しいかもしれません。

気になる資格があるなら挑戦しても良いですし、体力や行動範囲、自由になる時間などを考慮し、自身に合った働き方を見つけるようにしてください。

(3)投資や金融資産への配分

現在の低金利下では、銀行に預けていてもお金は増えません。しかも、インフレによりお金の価値は下がっているのです。資産の価値が下がることを防ぐためにも、投資を取り入れ、物価上昇率以上の利回りで運用していく必要があります。

ただ、投資を始めるためにはある程度の預貯金、そして投資に対する知識が必要です。投資は運用成果の変動が伴うため、元本割れのリスクも考慮する必要があります。

投資を始めるにあたっては、毎月の生活資金の6ヵ月程度は現金で持っておき、それ以外の資産のなかで少しずつ始めていき、慣れることが大切です。投資に慣れて運用を軌道に乗せるためには、運用資金と長期的な時間が必要だということを理解しておきましょう。


(4)セゾンのリースバックを利用する

インフレによる物価の上昇、そして資産価値の減少によって、生活費の増額や手持資金が不足する不安を抱えているなら、セゾンのリースバックもおすすめです。

リースバックとは、保有している自宅などの不動産を売却してまとまった資金を得たあとは、賃料を払うことで売却した自宅に住み続けられる仕組みの、不動産を活用した資産調達方法です。
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まとめ

物価の上昇による生活への影響は、資産価値の減少も伴うため、早めに対策に取り組むことが大切です。
例えば現役のうちに運用を始め、理想の利回りに近付ける運用ができるまでに慣れておくなどです。ほかにも、自身が持っているスキルを活用できる仕事を始めるなど、インフレに備えるために取り組める方法はたくさんあります。

リタイア後の生活を楽しく過ごせるように、早いうちから無理のない範囲で準備しておきましょう。
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