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リースバックのメリット・デメリットを比較|後悔しないための判断基準を解説
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| 執筆者氏名 | 「お金のトリセツ」編集部 |
|---|---|
| 所属 | セゾンファンデックス |
| 執筆日 | 2026年06月01日 |
目次
- リースバックのメリット・デメリットを比較
- リースバックの仕組み|自宅を売却して賃貸として住み続ける流れ
- リースバックが活用される主なメリット
- リースバックのデメリットと注意点
- リースバックで後悔しやすいケースと注意点
- 居住期間と経済性の目安|何年住むかで変わる判断基準
- リースバックが向いている人・慎重に検討すべき人
- リースバックが向いている人
- 慎重に検討すべき人
- 資産活用手法の比較|リースバック・リバースモーゲージ・不動産担保ローン・仲介売却
- リースバックで後悔しないために確認すべきポイント
- よくある質問
- 信頼できる会社を選ぶためのポイント
- まとめ|リースバックは「何年住むか」まで考えて判断する
自宅に住み続けながら、まとまった資金を確保したい。そう考えたときに候補にあがるのが、リースバックです。リースバックは、自宅を売却して現金化したあと、買主と賃貸借契約を結ぶことで、これまでと変わらず同じ家で暮らし続けられる仕組みです。住宅ローンの返済や老後資金の準備、相続に向けた資産整理、事業資金の確保など、さまざまな目的で利用されています。
一方で、リースバックは「売却」と「賃貸借契約」を組み合わせた取引です。通常の不動産売却より売却価格が低くなりやすいこと、売却後は家賃の支払いが発生すること、契約形態によっては将来住み続けられなくなる可能性があることなど、事前に押さえておきたい注意点も少なくありません。
この記事では、リースバックのメリット・デメリットを整理したうえで、後悔しないために確認しておきたい判断基準を解説します。「今すぐ資金が必要だから」という理由だけで決めるのではなく、売却価格や家賃、契約期間、将来の住まい方まで含めて、自分に合った方法かどうかを一緒に考えていきましょう。
リースバックのメリット・デメリットを比較
リースバックの最大の特徴は、まとまった資金を確保しながら、今の家に住み続けられることにあります。ただし、所有者から借主へと立場が変わるため、これまでとは毎月の負担や権利関係が変化する点には注意が必要です。
まずは、主なメリットとデメリットを項目ごとに見比べてみましょう。
| 項目 | メリット | デメリット・注意点 |
| 住まい | 売却後も自宅に住み続けられる | 契約形態によっては、将来の居住期間に制限が出ることがある |
| 資金確保 | まとまった資金を比較的早く確保しやすい | 通常の仲介売却より売却価格が低くなる傾向がある |
| 毎月の負担 | 住宅ローンや固定資産税などの負担を整理しやすい | 売却後は家賃の支払いが発生する |
| 維持管理 | 固定資産税や大規模修繕費などの負担を軽くできる | 修繕費の負担範囲は契約内容によって異なる |
| 周囲への影響 | 引越しや通常の売却活動が不要で、近隣に知られにくい | 登記情報を確認すれば所有者の変更は分かる |
| 将来の選択肢 | 契約内容によっては買い戻しを検討できる | 買い戻し価格は売却価格より高くなることが多い |
| 相続 | 売却資金を生活費や相続対策に活用できる | 自宅の所有権を失うため、不動産として子どもに残せない |
リースバックは、資金確保と住環境の維持を両立しやすい方法です。特に、住宅ローンの返済が重くのしかかっている場合や、事情があってすぐには引っ越せない場合には、有力な選択肢になり得ます。
ただし、長く住み続けるほど家賃の総支払額は膨らんでいきます。何年住む予定なのか、その家賃を無理なく払い続けられるのか、将来買い戻す可能性があるのかを事前に整理しておくことが、後悔しないための第一歩です。
リースバックの仕組み|自宅を売却して賃貸として住み続ける流れ
正式には「セール・アンド・リースバック」と呼ばれる仕組みで、自宅をリースバック会社などに売却すると同時に賃貸借契約を結び、売却後もそのまま同じ家で暮らし続けます。詳しい仕組みや契約時の注意点については、国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」でも確認できます。
通常の売却であれば、引き渡しとともに新しい住まいへ移らなければなりません。しかしリースバックでは、売却先の会社がそのまま貸主になるため、所有権こそ手放すものの、利用者は借主として住み続けることができます。
受け取る資金は「借入」ではなく「売却代金」にあたるため、原則として使い道に制限はありません。住宅ローンの完済、老後資金の確保、医療・介護費用、事業資金、相続に向けた資産整理など、目的は人によってさまざまです。
一方で、これは不動産を手放す取引でもあります。所有権を失うため、売却後に家を自由に処分したり、不動産として子どもに相続させたりすることはできません。増改築やリフォームについても、所有者である貸主の承諾が必要になるのが一般的です。
「住み続けられる」という言葉だけを見ると、実感としては手放していないように感じるかもしれません。しかし法律上は、所有者から借主へと立場が変わります。リースバックを検討する際は、まずこの変化をきちんと理解しておくことが出発点になります。
売却価格が市場価格より低くなりやすい理由
リースバックの売却価格は、通常の仲介売却に比べて低くなる傾向があります。目安としては市場価格より低くなるケースが多く、一般的には市場価格の70〜80%程度と説明されることもありますが、実際の水準は所在地や築年数、権利関係、賃貸借契約の内容などによって大きく変わります。
価格が低くなりやすいのは、買主側が抱えるリスクやコストが理由です。買い取った物件はすぐに転売できず、将来の不動産市況の変動や空室リスクを見込んでおく必要がありますし、固定資産税や管理費・修繕積立金といった保有コストも買主側の負担になります。
つまりリースバックの売却価格は、「今すぐ一般市場で売れる価格」ではなく、「賃貸借つきの物件として保有・運用する前提の価格」に近いものだと考えておくとよいでしょう。
家賃は買取価格と利回りをもとに決まることが多い
リースバックの家賃は、周辺の賃貸相場だけで決まるわけではありません。多くの場合、買取価格に対してどれくらいの利回りを見込むかという考え方をもとに算出されます。
基本的な考え方は次のとおりです。
年間家賃 = 買取価格 × 想定利回り 月額家賃 = 年間家賃 ÷ 12
たとえば買取価格が2,000万円、想定利回りが年10%だとすると、年間家賃は200万円、月額ではおよそ16.7万円という計算になります。
ここで見落としやすいのが、売却価格を高く設定すると、その分、家賃も高くなる場合があるという点です。「少しでも高く売りたい」と考えるのは自然なことですが、売却後は毎月家賃を払い続ける立場になります。売却価格だけを重視して契約すると、結果として毎月の負担が重くなり、数年後に支払いが苦しくなってしまうケースも見られます。
反対に、長く住み続けたいのであれば、売却価格を多少抑えてでも家賃を低めに設定してもらうほうが、長い目で見て家計に合うこともあります。「いくらで売れるか」だけでなく、「いくらの家賃なら無理なく住み続けられるか」を同時に考えることが大切です。
リースバックが活用される主なメリット
ここからは、リースバックの具体的なメリットを一つずつ見ていきます。
住み慣れた家に住み続けながら資金を確保できる
もっとも大きなメリットは、売却後も同じ家に住み続けられることです。
自宅を売却して資金を確保したいと思っても、すぐに引っ越せるとは限りません。子どもの通学、家族の通勤、親の介護、近隣との付き合い、通院先など、住まいを変えることが大きな負担になるケースは多くあります。長年住み慣れた家や地域を離れることは、心理的にも決して小さくない負担です。とりわけ高齢の方にとっては、生活環境の変化が体調や日々の暮らしに影響することもあります。
リースバックであれば、自宅を現金化しながら、生活環境を大きく変えずに済みます。見た目には以前と変わらない暮らしが続くため、近隣に売却したことを知られにくいというのも、あわせて挙げられるメリットです。
まとまった資金を比較的早く確保しやすい
通常の仲介売却では、買主を探し、内覧に対応し、価格交渉を経て契約・引き渡しへと進みます。条件次第では、売却が完了するまでに数ヶ月以上かかることも珍しくありません。
リースバックでは、リースバック会社などの事業者が買主になるため、一般の買主を一から探す必要がありません。物件調査や条件のすり合わせは必要ですが、通常の仲介売却に比べると資金化までの期間を短縮しやすい傾向にあります。住宅ローンの返済期限が迫っている、事業資金や税金の支払いを急いでいるといった場合には、このスピード感が大きな助けになります。
住宅ローンや借入の整理に活用できる
住宅ローンの返済が重くなっている場合、リースバックによって自宅を売却し、その代金でローンを完済できる可能性があります。
毎月の返済が家計を圧迫している状態が続くと、いずれ返済が滞ってしまうリスクも出てきます。リースバックを活用すれば、返済がさらに厳しくなる前に、自宅に住み続けながら返済問題を整理できる場合があります。
ただし、住宅ローンが残っている物件でリースバックを利用するには、売却代金などによってローン残高を完済し、抵当権を抹消できることが前提になります。売却代金だけでは完済に届かない場合は、自己資金を充てるなど、別の対応が必要になる点は押さえておきましょう。
固定資産税や維持管理費の負担を軽減できる
自宅を所有していると、固定資産税や都市計画税、マンションであれば管理費・修繕積立金、大規模修繕や設備交換の費用など、さまざまなコストがかかります。
リースバック後は所有者ではなくなるため、固定資産税・都市計画税の納税義務は新しい所有者に移ります。マンションの管理費・修繕積立金も、原則として所有者側の負担です。ただし、こうした費用が家賃水準に反映されることもあるため、単純に負担がなくなるというより、支払いの名目や負担の見え方が変わると考えておくとよいでしょう。
また、すべての修繕費用が自動的に貸主負担になるわけではありません。一般的な賃貸借契約と同じく、建物本体に関わる修繕は貸主、日常的な使用にともなう軽微な修繕や原状回復は借主が負担する、といった形で契約ごとに範囲が定められています。家賃だけでなく、修繕費や設備交換、原状回復、火災保険などをどちらが負担するのかは、契約前にひとつずつ確認しておく必要があります。
周囲に知られにくい
通常の不動産売却では、広告の掲載やポータルサイトへの登録、内覧対応、売却の看板設置などを通じて、近隣に売却が伝わってしまう可能性があります。
リースバックの場合、基本的に不特定多数の買主を募集する必要がなく、売却後もそのまま住み続けるため、外から見ただけでは変化に気づかれにくいという特徴があります。住宅ローンの返済事情や資金繰りを周囲に知られたくない方にとっては、心強いポイントといえるでしょう。
ただし、所有権移転登記は行われるため、法務局で登記情報を確認すれば所有者の変更自体は分かります。マンションであれば、管理組合との関係で所有者変更が伝わることもあるため、「絶対に誰にも分からない」とまでは言い切れない点には留意しておきましょう。
将来的に買い戻しを検討できる場合がある
契約内容によっては、将来的に自宅を買い戻せる場合があります。一時的に資金が必要なだけで、将来的にはまた所有者として住み続けたいという方にとっては、買い戻しの条件を確認しておく価値があります。
ただし、買い戻しは自動的にできるものではありません。契約時点で、買い戻しの可否や価格、期限、条件を明確にしておく必要があります。「将来買い戻せると聞いていた」というだけで、契約書に具体的な条件が記載されていなければ、後になってトラブルに発展しかねません。
また、買い戻し価格は売却価格と同じになるとは限らず、一般的には売却価格より高く設定される傾向があります。買い戻しを視野に入れる場合は、そのための資金を将来本当に用意できそうか、あわせて考えておく必要があるでしょう。
リースバックのデメリットと注意点
便利な仕組みである一方、リースバックには利用後に「こんなはずではなかった」と感じやすいポイントもあります。ここでは代表的な注意点を確認しておきましょう。
通常の売却より売却価格が低くなりやすい
先述のとおり、リースバックの売却価格は通常の仲介売却より低くなる傾向にあります。できるだけ高く自宅を売りたいのであれば、一般の買主を対象にした仲介売却のほうが高値になりやすい可能性があります。
「今の家に住み続けられる」というメリットの裏側には、売却価格の面では通常売却より不利になりやすいという事情がある、と理解しておく必要があります。
売却後は家賃を支払い続ける必要がある
リースバック後は所有者ではなく借主になるため、毎月の家賃が発生します。
住宅ローンの返済がなくなっても、代わりに家賃という新たな支出が生まれるため、家計全体で見て本当に負担が軽くなるのかを見極めなければなりません。
たとえば、これまでの住宅ローン返済が月12万円だったのに対し、リースバック後の家賃が月16万円になるとすれば、毎月の支出はむしろ増えてしまいます。売却代金で借入を整理できたとしても、その後の家賃が重ければ、生活の安定にはつながりません。年金収入が中心になる方や、収入に波がある事業者の方は、将来の収入をやや保守的に見積もったうえで検討することをおすすめします。
長期間住み続けると家賃総額が大きくなる
数年間の「つなぎ」として利用する分には経済的に成立しやすい一方、10年、15年、20年と長く住み続ける場合は、家賃の総支払額が大きくなっていきます。
売却時にまとまった資金を受け取っても、その後の家賃支払いが長く続けば、結果的に売却代金に近い金額、あるいはそれを上回る金額を家賃として支払うことになる場合もあります。「今すぐ資金が必要かどうか」だけでなく、「何年住む予定で、その期間の家賃総額はどれくらいになりそうか」を必ず試算しておきましょう。
契約形態によっては長く住み続けられない
リースバック後の賃貸借契約には、主に普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。
普通借家契約は借主の保護が比較的強く、家賃を払い続けている限り、貸主側に正当な理由がなければ契約更新を拒みにくい仕組みです。長く住み続けたい場合には安心感があります。
一方、定期借家契約は期間満了とともに契約が終了する仕組みです。再契約できる場合もありますが、それには貸主との合意が必要で、合意が得られなければ退去を求められる可能性があります。「長く住み続けられると思っていたのに、実際には期間の定めがある定期借家契約だった」というのは、リースバックで後悔しやすい典型例のひとつです。契約前には、契約期間・契約形態・再契約の可否・再契約時の条件を、必ず書面で確認しておきましょう。
所有権を失うことで相続やリフォームに制約が出る
リースバック後は自宅の所有権が買主に移るため、売却した家をそのまま子どもや家族に相続させることはできません。
相続財産として残るのは、原則として売却で得た現金などです。相続人が複数いる場合、不動産を現金化しておくことで分割しやすくなるという側面もありますが、「家そのものを子どもに残したい」という希望がある場合には、リースバックは選びにくい方法になります。
あわせて、所有者ではなくなることで、リフォームや増改築も自由には行えなくなります。バリアフリー化や設備交換、間取り変更などを考えている場合は、どこまで実施できるのか、事前に確認しておく必要があります。
買い戻し価格が高くなることが多い
将来的に買い戻しができる契約であっても、買い戻し価格は売却価格より高くなるのが一般的です。
買主側としては、購入時にかかった諸費用や税金、保有コスト、将来の価格変動リスク、事業としての利益などを織り込む必要があるためです。そのため、「売った価格のまま買い戻せる」とは限りません。「一時的に売って、あとで同じ金額で取り戻せばいい」と軽く考えていると、想定より高い買い戻し価格に戸惑うことになりかねません。買い戻しを検討するのであれば、具体的な金額・期限・条件を契約前にはっきりさせておきましょう。
リースバックで後悔しやすいケースと注意点
リースバックで後悔する原因の多くは、仕組みそのものというより、契約前の確認不足にあります。ここでは、実際に起こりやすいケースを見ていきます。
売却価格だけを見て契約してしまった
リースバックを検討し始めると、まず目が向きやすいのが売却価格です。少しでも高く買い取ってくれる会社を選びたいと思うのは自然なことでしょう。
しかし、これまで見てきたとおり、リースバックでは売却価格と家賃が連動することがあります。高い売却価格を提示されたとしても、その分家賃が上がるのであれば、長期的にはむしろ家計の負担が重くなるかもしれません。
大切なのは、売却価格だけで判断しないことです。売却価格・月額家賃・契約期間・再契約の条件・買い戻し条件を総合的に見て、将来の暮らしに無理が生じないかを確認しましょう。
家賃を払い続けられなくなった
リースバック後にもっとも深刻な問題になりやすいのが、家賃の支払いです。
売却直後は手元に資金があるため、家賃の負担を軽く見てしまうことがあります。しかし、年金収入や事業収入に対して家賃が高すぎると、数年のうちに手元資金が減り、支払いが難しくなる可能性があります。
医療費や介護費、物価上昇、家族への支援など、将来の支出をあらかじめ正確に見通すことはできません。契約前には、少なくとも5年後・10年後までを見据えた家計シミュレーションを行い、その家賃を払い続けられそうかを確かめておくことをおすすめします。
契約期間満了後に再契約できなかった
定期借家契約の場合、契約期間が満了すれば契約はいったん終了します。再契約できるケースもありますが、必ず保証されているわけではありません。
「再契約できます」という説明を口頭で受けていたとしても、契約書にどう記載されているかがすべてです。貸主側の判断で再契約が認められなければ、想定より早く退去を求められる可能性があります。長く住み続けたい場合は、普通借家契約を選べるか、定期借家契約であれば契約期間をどの程度確保できるか、再契約時の家賃条件はどうなるかを、事前にしっかり確認しておきましょう。
家族と相談せずに進めてしまった
自宅は、本人だけでなく家族にとっても大きな意味を持つ資産です。
子どもが将来相続するつもりでいた、いずれ同居を考えていた、思い出のある家を手放したくなかったなど、家族が自宅に対して強い思いを持っている場合があります。そのため、リースバックのあとに家族間で認識のズレが生じることもあります。
リースバックは資金調達の手段であると同時に、自宅の所有権を手放す取引でもあります。相続や家族の将来にも関わるからこそ、可能な範囲で契約前に家族と話し合っておくと安心です。
買い戻し条件を十分に確認していなかった
「将来買い戻せる」と聞いていたのに、実際には価格が想定より高かった、期限が短かった、条件を満たせなかった——というケースも見られます。
買い戻しを希望するのであれば、契約書に条件が明記されているかを必ず確認しましょう。買い戻し価格、期限、手続きの流れ、家賃を滞納した場合の扱い、第三者への売却制限など、確認すべき点は多岐にわたります。買い戻しはリースバックの大きな安心材料になり得る一方で、条件を誤解したままにしておくと、そのまま後悔につながってしまいます。
居住期間と経済性の目安|何年住むかで変わる判断基準
リースバックが自分に合っているかどうかを判断するうえで、特に重要なのが「何年住む予定か」という視点です。数年以内に住み替える予定がある場合と、10年以上住み続けたい場合とでは、リースバックの評価はまったく変わってきます。売却時にまとまった資金を得られても、長く住むほど家賃の総支払額は膨らんでいくためです。
ここでは、想定利回りを年10%とした場合の家賃総額の目安を見てみましょう。実際の条件は物件や契約内容によって異なりますが、考え方の参考として確認してください。
| 買取価格 | 想定利回り | 月額家賃の目安 | 5年間の家賃総額 | 10年間の家賃総額 | 15年間の家賃総額 |
| 1,500万円 | 10% | 約12.5万円 | 約750万円 | 約1,500万円 | 約2,250万円 |
| 2,000万円 | 10% | 約16.7万円 | 約1,002万円 | 約2,004万円 | 約3,006万円 |
| 2,500万円 | 10% | 約20.8万円 | 約1,248万円 | 約2,496万円 | 約3,744万円 |
この前提で試算すると、およそ10年住み続けた時点で、支払った家賃の総額が売却代金とほぼ同水準に達する計算になります。さらに15年、20年と住み続ければ、売却時に得た資金以上の家賃を支払う可能性も出てきます。
もっとも、これは「リースバックは10年で必ず損をする」という意味ではありません。売却代金で住宅ローンを完済できれば家計が安定するケースもありますし、数年後に施設入居や住み替えを予定しているのであれば、合理的な選択になることも十分にあります。
大切なのは、リースバックを「ずっと住み続ける前提」で考えるのではなく、出口戦略とセットで考えることです。3年後に住み替えるのか、5年後に子どもと同居するのか、10年以上その家に住み続けたいのか。想定する居住期間によって、適した契約条件や無理のない家賃水準は変わってきます。
リースバックが向いている人・慎重に検討すべき人
リースバックは、誰にでも向いている方法というわけではありません。自宅に住み続けながら資金を確保できる一方で、所有権を失い、家賃を支払い続けることになるためです。ここでは、どのような方に向いているのか、逆にどのような方は慎重に考えたほうがよいのかを整理します。
リースバックが向いている人
リースバックが向いているのは、今の住まいに当面は住み続ける必要があり、なおかつまとまった資金を確保したい方です。
たとえば、住宅ローンや借入の整理を優先したい場合、すぐには引っ越せない事情がある場合、数年以内に住み替えや施設入居を予定している場合には、現実的な選択肢になり得ます。
また、子どもがすでに独立していて自宅を不動産として残す必要性が低い場合や、相続前に資産を現金化しておきたい場合にも検討しやすいでしょう。
ポイントは、資金を得たあとに何をしたいのかが明確になっていることです。住宅ローンの完済、老後資金の補填、事業資金の確保、相続対策など、目的が具体的であるほど、リースバックが自分に合っているかどうかも判断しやすくなります。
慎重に検討すべき人
一方で、できるだけ高く自宅を売りたい方は、まず通常の仲介売却も候補に入れて比較したほうがよいでしょう。住み続けられるメリットの分、売却価格は低くなりやすいためです。
10年、20年、あるいは生涯にわたって同じ家に住み続けたい方も、慎重な検討が必要です。長期居住になるほど家賃総額は大きくなり、家計への負担が重くなる可能性があります。
自宅を子どもや孫に不動産として残したい方にも、リースバックは合わない場合があります。売却後は所有権が手放すため、家そのものを相続させることはできません。
そして、家賃を払い続けるための収入の見通しが立っていない方も注意が必要です。売却代金が一時的に手元に入っても、毎月の家賃を無理なく払えなければ、いずれ退去のリスクが高まってしまいます。
資産活用手法の比較|リースバック・リバースモーゲージ・不動産担保ローン・仲介売却
自宅を活用して資金を確保する方法は、リースバックだけではありません。リバースモーゲージや不動産担保ローン、通常の仲介売却など、それぞれ特徴が異なります。どの方法が向いているかは、所有権を残したいか、毎月の返済負担をどう考えるか、住み続けたい期間はどれくらいかによって変わってきます。
| 手法 | 仕組み | 所有権 | 月々の負担 | 住み続けられるか | 向いている人 |
| リースバック | 自宅を売却し、賃貸として住み続ける | 手放す | 家賃 | 契約期間に準ずる | 所有権より資金確保と住環境維持を優先したい人 |
| リバースモーゲージ | 自宅を担保に融資を受ける | そのまま残る | 利息中心の場合が多い | 原則可能 | 高齢で所有権を残しながら資金を借りたい人 |
| 不動産担保ローン | 不動産を担保に融資を受ける | そのまま残る | 元利返済 | 可能 | 返済原資があり、所有権を残したい人 |
| 仲介売却 | 市場で買主を探して売却する | 手放す | 売却後はなし | 原則不可 | できるだけ高く売りたい人 |
リースバックは、自宅を売却して現金化する方法です。借入ではないため資金使途の自由度が高い一方、所有権は移転します。
リバースモーゲージは、自宅を担保に融資を受ける方法です。所有権を残せる点は大きなメリットですが、年齢や物件種別、資金使途に制限が設けられていることが多く、特にマンションでは利用しにくいケースも見られます。
不動産担保ローンは、不動産を担保にして借入を行う方法です。所有権を維持したまま資金を調達できますが、毎月の元利返済が必要になります。安定した返済原資がある方には選択肢になりますが、返済が難しくなれば担保にした不動産を失うリスクがある点には注意が必要です。
仲介売却は、市場で買主を探して売却する一般的な方法です。リースバックより高く売れる可能性がある一方、原則として売却後は退去しなければなりません。
どれか一つが優れているというより、何を優先するかによって選ぶべき方法は変わります。所有権を残すこと、今の家に住み続けること、できるだけ高く売ること、返済の負担を避けることなど、重視したい点を整理したうえで比較することが大切です。
リースバックで後悔しないために確認すべきポイント
リースバックを検討する際は、条件をひとつずつ丁寧に確認することが欠かせません。とりわけ買取価格・家賃・契約期間・買い戻し条件は、その後の暮らしに直結します。
買取価格と家賃のバランスを確認する
買取価格だけを見て判断しないようにしましょう。高い買取価格は魅力的に映りますが、家賃が高くなれば長期的な負担は増します。反対に、買取価格が多少低くても家賃を抑えられるほうが、安心して住み続けられる場合もあります。契約前には、買取価格・月額家賃・年間家賃に加えて、5年・10年住んだ場合の家賃総額まで確認し、売却代金がどれだけ手元に残り、何年住むと家賃総額がどの程度になるのかを具体的につかんでおくと判断しやすくなります。
賃貸借契約の種類と契約期間を確認する
長く住み続けたい場合は、賃貸借契約の種類も必ず確認してください。普通借家契約なのか定期借家契約なのか、定期借家契約であれば契約期間は何年か、再契約は可能か、再契約時に家賃は変わるのか——「住み続けられる」という説明が、実際には何年を指しているのかは契約内容によって異なります。口頭の説明だけでなく、契約書上の記載を確かめることが重要です。
買い戻し条件を確認する
将来的な買い戻しを考えている場合は、買い戻し価格・期限・満たすべき条件を具体的に確認しましょう。特に、買い戻し価格が売却価格よりどの程度高くなるのかは重要なポイントです。将来の収入見込みや、必要であれば融資利用の可能性まで含めて、本当に実現できる計画なのかを考えておく必要があります。
税金の負担を確認する
リースバックも不動産売却の一種であるため、自宅の売却によって譲渡益が生じた場合は、譲渡所得税など税金の負担が発生することもあります。マイホームの売却には特例による控除が適用されるケースもありますが、適用条件は個々の状況によって異なるため、詳しい税務上の取り扱いについては税理士や税務署に確認しておくと安心です。
家族と事前に話し合う
自宅は本人だけでなく家族にとっても大きな資産です。特に相続に関わる場合は、事前の相談が欠かせません。所有権が移転すれば、不動産として子どもに残すことはできなくなります。売却資金の使い道、将来の住まい方、相続への影響について、家族と話し合っておくことで、後々のトラブルを避けやすくなります。
複数社の条件を比較する
条件は会社によって異なるため、1社の提示条件だけで決めるのは避けたいところです。買取価格、家賃、契約期間、契約形態、修繕費の負担範囲、買い戻し条件などを、可能であれば複数社で比較してみましょう。ただし、単純に「もっとも高く買い取ってくれる会社」を選べばよいわけではありません。家賃や契約期間、将来の再契約条件まで含めて、総合的に判断することが大切です。
よくある質問
Q. リースバックはやめた方がいいですか?
リースバックは一律に「やめた方がいい」方法ではありません。ただし、できるだけ高く自宅を売却したい方、長期間住み続けたい方、家賃を払い続ける見通しが立たない方、自宅を子どもに不動産として残したい方には、慎重な検討が必要です。一方で、数年以内の住み替えを予定している方、住宅ローンや借入の整理を優先したい方、今すぐには引っ越せない事情がある方には、有効な選択肢となる場合があります。大切なのは、自分の目的と契約条件が合っているかどうかです。
Q. リースバックで後悔しやすい理由は何ですか?
リースバックでは、売却価格が想定より低かった、家賃負担が重くなった、定期借家契約で長く住み続けられなかった、買い戻し価格が高かった、家族と十分に相談していなかったといった理由で、後悔につながるケースがあります。買取価格・家賃・契約期間・契約形態・買い戻し条件を確認し、将来の家計シミュレーションを行ったうえで判断することをおすすめします。
Q. リースバックの家賃はどのように決まりますか?
周辺の賃貸相場だけでなく、買取価格に対する利回りをもとに設定されることが一般的です。そのため、売却価格が高くなるほど家賃も高くなる場合があります。家賃だけ、あるいは売却価格だけで判断するのではなく、両方のバランスを見て、無理なく支払える水準かどうかを確認しましょう。
Q. リースバック後もずっと住み続けられますか?
契約形態によります。普通借家契約であれば比較的長く住み続けやすい一方、定期借家契約では契約期間の満了後に再契約できない可能性があります。何年住めるのか、再契約は可能か、再契約時に家賃が変わるのかは、契約前に必ず書面で確認しておきましょう。
Q. 住宅ローンが残っていてもリースバックは利用できますか?
利用できる場合があります。ただし、売却代金などによって住宅ローンを完済し、抵当権を抹消できることが前提です。売却代金だけでローン残高を完済できない場合は、自己資金を充てるなどの対応が必要になるため、まずは住宅ローンの残高と想定売却価格を確認しましょう。
Q. リースバックとリバースモーゲージはどちらがよいですか?
所有権を残したい場合はリバースモーゲージ、自宅を売却してまとまった資金を得たい場合はリースバックが選択肢になります。ただし、リバースモーゲージは年齢や物件種別、資金使途などに制限があり、マンションでは利用しにくいケースもあります。リースバックは資金使途の自由度が高い一方、所有権が移転し、家賃負担が発生します。どちらが適しているかは、所有権を残したいのか、資金使途の自由度を重視するのか、毎月の負担をどう考えるのかによって変わります。
Q. リースバック後に退去することはできますか?
可能です。通常の賃貸借契約と同じように、契約で定められた予告期間に従って解約を申し出ます。将来的に住み替えや施設入居を予定している場合は、解約時の条件や原状回復の範囲もあわせて確認しておくと安心です。
Q. リースバックをしたことは周囲に分かりますか?
通常の売却のように広告や内覧が行われるわけではないため、近隣には気づかれにくいのが一般的です。売却後も同じ家に住み続けるため、外見上の変化もほとんどありません。ただし、所有権移転登記は行われるため、登記情報を確認すれば所有者の変更自体は分かります。マンションの場合は、管理組合を通じて所有者変更が伝わることもあります。
信頼できる会社を選ぶためのポイント
リースバックは、自宅という大きな資産に関わる取引です。提示される条件だけでなく、相談先の姿勢そのものも重要な判断材料になります。
メリットだけでなくデメリットも丁寧に説明してくれるかどうかを見極めましょう。売却価格の高さばかりを強調し、家賃負担や契約期間のリスクについて十分に説明しない会社には注意が必要です。
長期的な家計シミュレーションを示してくれるかどうかも大切なポイントです。売却時にいくら手元に残るかだけでなく、5年後・10年後の家賃総額や資金の見通しまで確認できれば、判断の材料が大きく増えます。
そして、契約を急がせない姿勢も重要です。セゾンファンデックスでは、リースバックの営業指針を公開しています。リースバックは一度契約すると簡単には元に戻せません。家族と相談する時間、他社と比較する時間、契約書をじっくり確認する時間を十分に取れる会社を選びましょう。
信頼できる会社ほど、リースバックが合わないと判断した場合には、通常の仲介売却やリバースモーゲージ、不動産担保ローンなど、他の選択肢も含めて率直に説明してくれるものです。複数の方法を比較しながら、無理のない選択をすることを心がけてください。
まとめ|リースバックは「何年住むか」まで考えて判断する
リースバックは、自宅に住み続けながらまとまった資金を確保できる、有力な選択肢のひとつです。引っ越しを避けたい方、住宅ローンや借入を整理したい方、老後資金や相続対策を考えたい方にとって、現実的な解決策になることがあります。
一方で、通常の売却より価格が低くなりやすいこと、売却後は家賃を払い続ける必要があること、契約形態によっては長く住み続けられない可能性があることには、あらかじめ注意しておく必要があります。
後悔しないためには、売却価格だけで判断しないことが何より大切です。月額家賃、契約期間、再契約の可否、買い戻し条件、修繕費の負担、そして将来の家計シミュレーションまで、ひとつずつ確認していきましょう。
なかでも重要なのは、「何年住む予定か」という視点です。数年以内の住み替えや資金整理が目的であれば、リースバックは有効に働く可能性が高いといえます。一方、10年、20年と長く住み続けたいのであれば、家賃総額が大きくなることを踏まえ、他の選択肢とも比較しながら慎重に検討する必要があります。
仕組みを正しく理解し、条件を一つひとつ丁寧に確認できれば、リースバックは今の生活を維持しながら将来に備えるための、現実的な選択肢になります。まずは自宅の査定額や想定家賃、これからの住まい方を具体的に整理し、自分に合った方法かどうかを考えてみてはいかがでしょうか。
リースバックを検討するなら、まずは査定額と想定家賃を確認しましょう
リースバックを検討するなら、まず自宅の査定額と想定家賃を知ることから始めると、判断がしやすくなります。
セゾンファンデックスでは、目の前の資金ニーズだけでなく、数年後、10年後の暮らしまで見据えたご提案を大切にしています。リースバックが本当に適した選択肢かどうか、売却価格と家賃のバランス、将来の収支見通しまで含めて診断いたします。
契約するかどうかは、シミュレーションの結果をご覧になってからじっくりご判断ください。自宅に住み続けながら資金を確保したい方、住宅ローンや老後資金に不安を感じている方は、まずはお気軽にご相談ください。

